私が韓国に住んでいるとき、韓国空軍で飛行機の整備に従事したことがある李正馥さんが、戦争記念館に展示してある実際の飛行機を前に解説していただけると約束していたのですが、一緒に行くチャンスがありませんでした。 今回は、半年ぶりにその約束を果たしていただきました。 |
正面玄関(韓国国防部側から撮影) |
戦争記念館についてはすでに’97年4月28日号と’97年4月29日号で紹介しておりますので、 今回は李さんの話を中心にします。
朝鮮戦争初期に活躍したノースアメリカンP51ムスタングです。 この機種はレシプロエンジンでの世界最高速度記録を今でも持っているはずです。 |
朝鮮戦争中期以後は、北朝鮮軍が軽快なジエット戦闘機、Mig15を繰り出してくると、このプロペラ式の名機も敵ではなかったようで、 大量にスクラップされ、金属は鍋や釜になり韓国国民の生活用品に変わったそうです。
主翼付根にある四角い穴の中には自動カメラが組み込まれており、自分の攻撃の成果を写真に記録できるようになっています。
北朝鮮が投入しはじめたソ連製、Mig15戦闘機に対抗するために投入されたのがF86F戦闘機です。 この機体も名機で、大量に製造され、日本の自衛隊でも1970年代まで使われていて覚えている人も多いでしょう。 |
F86Fジェット戦闘機 |
世界初のジェット戦闘機同士の空中戦もこの両機で行われたそうです。 ところが、速度で勝るF86Fでもドッグファイトになると、ヒラリヒラリと軽快に身を翻すMig15に苦戦しました。 墜落したMig15を調査したところ、空中で急ブレーキをかけることができるように、胴体の両脇の一部が50cm四方くらいの面積で横に張り出し、 空気抵抗でブレーキをかける仕組みが付いていることがわかりました。
急遽、韓国空軍のF86Fにも同じシステムを追加することが決定され、急いで改造作業が始まり、李さんも何台もの機体を改造したそうです。 その結果、空中戦でもMig15にひけをとらなくなったそうです。
韓国空軍のマークから右下にかけての四角いエリアがエラのように外に張り出し、強力なエアーブレーキになります。 |