1998年2月1日号
日本、韓国、失われつつあるもの

旧正月の連休でしばらく会社に行っていないため、韓国人同僚からの情報収集が滞っています。 韓国人の友人も家族サービスで忙しく、呼び出すわけにもいかないのでアパートで一人寂しくパソコン遊び三昧です。 私は韓国語ができないので、街で出会った人と知り合いになることもできません。 そのような中で「椎名さんに会いたい」の著者である李 正馥(Lee, JeongBok)さんが私のアパートにやってきました。 彼は戦争中に日本人の一部からあれほど酷い仕打ちを受けたにもかかわらず、決して「反日」ではなく、 日本の良いところ、悪いところをクールに語ります。 精神の強靭さが並外れた人なのでしょう。 10年ほど前に国立の研究機関を定年退職し、現在は教会のボランティア活動に従事しています。
アパートでの会話の中で、日本と韓国の国民性について触れるところがありましたので以下に紹介します。


日本に出張した時

2〜30年前、韓国の雑貨屋にて
現在のような金儲け主義が昔から韓国にはびこっていたわけではないです。 地方のクモンカゲ(個人経営の雑貨屋)に葉書を買いに来た老人が主人に「ソウルで働いている息子に手紙を出したいが、 字が書けないので代筆してほしい」と言うと、ちゃんと書いてくれたものです。 たった1枚の葉書しか売ってないのですがそんなことは当たり前でした。 このような良き時代が金儲け主義に変わってきたのは、「漢江の奇跡」と言われ、韓国経済が急成長しだしてからですね。 特に全大統領になって、賄賂が横行する時代になってからがひどいです。


李さんには特に反論しませんでしたが、日本について少し「買いかぶり」のところがあるのではないでしょうか。 李さんが言っている日本の「美風」も最近は少なくなってきているように思います。

それにしても冒頭に触れた李さんの「精神の強靭さ」には脱帽します。 逆に、最近の日本から無くなりつつあるものの一つがこの「精神の強靭さ」では無いかと思います。 簡単に「傷ついたり、プッツンする」風潮をみるにつけ、ますますそう思います。 私は仕事の上で「人の評価」をしなければならないことがありますが(”他人の評価をする”と言うと、 何か”神聖なものを犯す”ようで、一番嫌な仕事ですが)、このような人にはどうしても高い点数を入れられないのも偽らざる気持です。


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