1997年12月10日号
ウォン安に思う

今日の為替相場の終値はついに1447ウォン/ドルまで落ちました。 史上最安値です。 以下、思い付くままに私の21年の韓国経験から為替相場について日本円との比率の歴史をたどってみます。

ウォン:日本円
年月 ウォン/円 備考 
1974  2.0 
1987  5.0公衆電話10Wで3分間
1991  4.5記憶があいまい
97/ 1月7.0 
97/10月7.5 
97/今日 11.0 

今から10年前の1987年は丁度、オリンピックの前年で半年間に10回の出張で来て(つまり、1月に1回以上)、 毎日のようにヨゥィドで飲んでいました。 当時は日本と韓国の平均給料は3倍くらいの違いがあったように思います。 毎日飲んでいても、それほどの負担ではありませんでした。

オリンピック後の1991年頃は、物価の上昇が著しく、韓国が先進国になってきたものだと、ポジティブに考えていました。 ところが、私が韓国駐在になった今年の1月頃は、むしろ日本よりも物価が高いのではないかと異常な感じを受けました。 全部の物価が高いわけではなく、交通費は今でも滅茶安とは思いますが、それ以外は「高い」と感じさせます。 なにしろ、世界一物価が高い国(日本)に住んでいた私が「高い」と感じるのですから相当なものです。

「ソウル便り」にもかかわらず、他の国のこともときどき紹介しておりますが、訪問して物価が高いと感じる国はほとんどありません。 一番不思議だったのは国民一人当たりのGNPが韓国よりも上である台湾では物価が高いとそれほど思わなかったことです。 アメリカの物価がこんなに高くないのはもちろんです。

以上の話は経済指標の数字を見て言っているわけではありませんので正確度を欠きますが、 私自身の実感です。 以前の「ソウル便り」を見直しておりましたら、6月16日号「韓国の経済」 「吉野屋、牛丼本位制」を述べており、我ながらうまい方法を考えたと自惚れています。

私が、韓国の物価が高いと感じるのは、常に日本円に換算して考えていたからなのです。 韓国ウォンの実力が日本円に対して7〜8倍と言うのがすでに異常なウォン高と考えれば辻褄があいます。 ウォンの本当の実力は10倍から12倍と言うのが妥当な線でしょう。 このくらいの数字で日本円に換算して考えれば、品質やオリジナリティーで劣る自動車などの製品は安く、それなりだと言うことが理解できるでしょう。

こうやって考えると、半年前のような7倍のような為替レートには当分の間は(10年くらい)戻ることが難しいと理解できるでしょう。 せいぜい行って9倍まで戻すのがやっとだと思います。 もっとも日本経済も失速して170円/ドルくらいまで低下すれば別ですが....


これだけのウォン安ですと、国民1人当たりのGNPは1万ドルを下回ることでしょう。 この国の実力はその程度だと思いますよ。

まあ、厳しいことを書きましたが、今までの実力以上のウォン高は国際金融マフィアが意図的にやっていたとも勘ぐれますね。 それに躍らされ、過消費/過投資してしまったのかも知れません。

ウォン安は輸出のチャンスです。 上記、6月16日号にも書きましたように、 韓国製品で国際競争力を持っているものは確かに存在するのですから、ここは頑張って欲しいものです。 日本人としても隣の家から破産者がでるのはいやなものですからね。


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