1997年9月20日号

国籍父系主義撤廃


日本に戻っていますとネタが少なく、「便り」のアップデートが滞っています。 ところが、毎日の新聞を意識して読んでいますと、韓国関係のニュースが載っていない日は無いくらいです。 最近の韓国経済の低迷についてはかなりの頻度で報道されており、単純にヤジ馬的な見方だけでなく、 各企業グループの借入金額などを数字を使って分析するなど、深い内容のものが増えてきています。 日本人の韓国研究について、古代史を研究する人は韓国人よりも日本人の方が多いと聞いていますが、 このような記事を見ていると、古代史のみならず、「今日の韓国」についての日本人研究者も多いのではないかと想像します。

前置きが長くなってしまいましたが、今朝の朝刊では「国籍父系主義」を撤廃する法案について朝日新聞ソウル特派員からの情報が報道されていました。 以下はその要約です。

韓国法務部(省)は19日、韓国人の女性が外国人と結婚した場合でも、生まれた子供は韓国籍を取得できるとする内容の国籍法改正案を発表した。

上記はまだ「案」で、成立しておりませんが、閣議決定、国会通過を経て成立する予定であるとのことです。

現行の韓国の国籍法では、日本と同様に血統主義を取っていて、アメリカやヨーロッパなどの出生地主義とは異なり、 世界的には少数派に属しています。 しかし、日本の場合は父・母、どちらかが日本人なら、 子供は日本国籍を取得できるのにたいして、韓国では父親が韓国人の場合のみ韓国籍が取得可能です。 こんどの改正案では日本と同様に、父または母のどちらでも良いとする「父母両系主義」に改めようとするものです。 さらに、法施行10年前までに国際結婚で生まれた子供にまで遡って適用されるとのことです。

改正案の理由について法務部(省)は、国際結婚が増える中、先進国の大部分が「父母両系主義」を取っていることなどを挙げている。 男女不平等の解消を求める女性団体などからは歓迎されそうだが、保守層の反発も予想される。


7月24日号の「本貫が同じでも結婚できる」でも驚いたのですが、 長い年月をかけて培われてきた儒教による法体系も徐々にではありますが変化が認められ、国際化してきているようです。 でも、上記、特派員の報告によると、政府よりも一般国民の方がこのような変化を好まないようにも読み取れます。 韓国の一般国民は意外と保守的なのかもしれませんね。


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