1997年7月24日号

本貫が同じでも結婚できる


韓国の姓は約290位しかないと、4月26日号で報告しました。 一番多いのは「金(キム)」で25%位ではないでしょうか。 ところが、ファミリ−ネ−ムと言う概念で言うと、 その上に「本貫」と言われる、1000年位昔の祖先の居住地が冠せられているのです。 これは戸籍にも登録しなければならない公式のものです。

金さんと言っても、本貫が違えば別の姓として扱われます。 こちらの友人と仲良くなってくると、そのような話も抵抗なく話ができるようになります。 どの人も自分の本貫には誇りを持っており話してくれます。 金氏の場合でも「慶州金氏(キョンジュ・キム・シ)」は昔の王族の家系です。 その他、「安東金氏(アンドン・キム・シ)」、「金海金氏(キムヘ・キム・シ)」、 「江陵金氏(カンヌン・キム・シ)」など、皆さん誇りを持って話してくれます。

韓国には「同じ本貫の男女は結婚できない」 と言う法律があり、結婚以前でも、例えば女子大学との合同パ−ティ−の最初の自己紹介で、 自分と同じ本貫だと、いくらその人がいいと思っても、即「バイバイ」するそうです。 隣に座ったル−ムサロンのアガシの本貫が同じであっても、興ざめで、 他の人に代えてもらうことがあるそうです。

戸籍に登録するのに加えて、 1000年位前からの家系を漢文で書き記した「族譜」と言われる記録(本)も大事にされ、 各家族で保管されているようです。 「族譜」は分厚い本のように綴じられており、 4・5冊になるそうです。
噂によると、「族譜」の修理、補修などの時に一部を書替えて、 歴史上の偉大な人物の名前を加えてしまうこともあるようです。


ところが2・3週間前に、この1000年も続く風俗・習慣に対して重大なインパクトを与える大法院(脚注参照)判決が出されたのです。
「本貫が同じ男女の結婚を禁じた法律は、国民の自由・平等を認めた憲法に反する」 との判決が出されたのです。 大法院判決ですから、これ以上の控訴審はありません。 つまり、実質的に結婚が可能となったのです。 私は、これを韓国社会が急速に近代化してきた証としてとらえているのですが、 こちらの友人は「長年染み付いてきた伝統は簡単に変わるものではないので、 実際に結婚する人は少ないだろう」と言っています。

その他、結婚できない条件として、4代前の祖先が同じか、それ以上の血縁関係ならば結婚可能とのことです。 日本ではイトコ(つまり2代前の祖先が同じ)から結婚できるのとは異なっています。


当地に住んでいると、韓国社会が急速に変化していくのが実感できます。 韓国人自体もそれを感じており、「双子であっても誕生時間が数10分違う。 その双子の間でさえ、世代間のギャップがある」と言っています。

お待たせしております大作ですが、7月26日に掲載予定です。


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大法院:

日本の最高裁判所にあたる。
最近、与党「新韓国党」の次期大統領候補者に選出された李 会昌氏は元大法院判事で、 「大法院長になるのは間違いなし」と言われていた大物判事だそうです。 「曲がったことをしない」として「竹直」と言う意味の韓国語の渾名が付けられているそうです。

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