1997年8月30日号

韓国映画、「ホワイト・バッジ」


日本に帰ってきております。 このところ何故かNHK衛星放送の深夜に韓国映画が放映されているのです。 一昨日は「西便制」でしたし、昨日は「ホワイト・バッジ」でした。

私は昨年末に急にソウル駐在を命ぜられるまでは、韓国は好きな国の一つではありましたが、 特別な思い入れもなく、韓国映画についても全く興味がありませんでした。 10年程前(ソウル五輪前)にはよく出張にきたのですが、そのころは話題になる韓国映画は、ほとんどありませんでした。 ところが、岡トホホさんから借りた「西便制」のビデオに感心し、韓国映画もやるなぁー、と思いはじめたところです。

NHK衛星放送では、「西便制」に続いて、「ホワイト・バッジ」が放映されました。 もちろん、知らない映画です。 早速、インターネットで調べたら、名画とのことで、録画して見ました。

原題は「ハヤン戦争(白い戦争)」とハングルで書いた下に英語で「White Badge」と書いてありました。


内容は、朴大統領時代に韓国がベトナム戦争へ派兵し、その影を引きずる帰還兵の話しです。 ベトナム帰還兵の話しはアメリカ映画にたくさんありますので(私の好きなタクシー・ドライバーもそうでしたよね)、目新しい話しではありません。 でも韓国人の手による、韓国兵の話しとして映画化されたことに、一番、驚きました。 韓国でもこのような映画が作られ、公開されているのだなぁー、と言う驚きです。 私がよく出張に来た10年前には考えられなかったことです。

話しの筋は、類似のアメリカ映画を見慣れているので新鮮さには欠けましたが、それなりに良くできた映画だと思いました。 ベトナム帰還兵と言う「重いテーマ」であるだけに画面展開の軽快さはありませんでしたが、いい映画です。

映画の中で印象に残ったセリフ(日本語字幕ですが)を三つだけ以下に紹介しましょう。

主人公の小説家が編集者に言われるセリフ
「行くときは勇士と言われ、帰ってきたら傭兵と言われた」と書いたら迫力がでるぞ。

戦友が撃たれて死んだとき
「アメリカ兵だったら遺体に整形手術までして奇麗にしてから、本国に送り返されるのに....」

ベトナムに向かう前日、壮行会の飲み屋の落書き
ベトナムで金を稼いでくるぞ!


勉強不足で、映画監督が誰かもしりませんが、「西便制」や「将軍の息子」の林 権澤監督ほどとは思えませんでした。 林監督は映画の職人と言われるそうですが、彼ならこのような「重いテーマー」でももう少し料理の仕方が違っただろうなぁー、と欲が出てしまいました。

無いものネダリで勝手なことを言っていますが、名画には違いありません。 韓国に興味をもっている人は必見の映画でしょう。 以前から何度も書いているように、韓国軍のベトナム派兵が、「漢江の奇跡」に寄与したのは、 間違いのない事実ですから、単なる娯楽だけでなく、韓国の近代史/風俗の勉強にもなります。


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