1997年7月17日号
日進会


今日は「制憲日」と言う国民の祝日です。 今から49年前の1948年のこの日に大韓民国の憲法が制定されました。 その憲法下で南朝鮮での選挙が行なわれ、8月には大韓民国が成立しました。 初代大統領は李承晩(イ・スンマン)ですが、彼は1875年生まれですから、73歳で就任したことになります。 また、彼と初代大統領を争っていた金九(キム・ク)は志なかばで凶弾に倒れました。 犯人は検挙され、服役しましたが異常に短い刑期で出所し軍人となりました。 退役後、名前を変えたりしてひっそりと暮らしていたようですが、今から半年ほど前に、金九を慕っている暴漢に、彼もまた暗殺されたのです。 それにしても49年前の、しかも刑期を終えた犯人を襲ったたのですから執念深いですね。

この年には済州島での大虐殺事件(犠牲者8万人)もあり、日帝から解放された後も、まだまだ苦難の道は続いていたようです。 同じ年の9月には朝鮮民主主義人民共和国が樹立され、以後、49年間の南北分断が続いているのです。


前置きが長くなりましたが、本日の記事の表題が「一進会」のミスタイプではないかと思った方はこのホームページを熱心に読んでいただいている方です。 7月9日号で報告しましたが、ソウル地方の高校、中学校には「一進会」という不良グループの組織が蔓延しています。 最近では小学生のメンバーもいるとのことです。 以下に当地の友人から聞き込んだり、被害者から直接聞いた話をお知らせします。

高校生が作った裏ビデオ
高校生が市販のビデオカメラを使って裏ビデオを制作し、コピーして配布(販売?)した

出演者は15歳の男子高校生が2人と、同じく15歳の女子高校生1人 (逆3輪車と言うのですかね)。 女子高校生は首に赤いマフラーをしていたので、ビデオのタイトルは「赤いマフラー」と言う。 ある調査によると、ソウルの高校生の2/3がこのビデオを見たことがある。

検挙された高校生の親の職業は高級公務員、会社のオーナーで、貧困家庭の子女はいない。 普段の服装はごく普通で乱れた感じはしない。

予備校生がショバ代を要求
6月15日号「45年ぶりの日本語」で紹介したデリカテッセンがその後、3週間、店を閉じていました。 久しぶりに前を通ると開店しているので入ってオーナーの話を聞きました。

予備校(学院)の街なので若い客が多いが、無銭飲食をし、それを注意すると、 逆に暴力団のチンピラを連れてきて、インネンをつけショバ代を要求した。 この店は自分の土地で、店舗の建設費として4億ウオン投資した。 一日の売り上げとして100万ウオンが採算分岐点だ。 今はそこまで至っていないので、とてもショバ代を払える状態ではない。 頭に来て3週間、店を閉じていた。 警察に言っても忙しく、こんな街のチンピラの取締りは真面目にやってくれない。

ミスター呉も街で若者に話しかけられたら注意した方がいいですよ。 身なりはごく普通なので騙されないようにに....

検挙された高校生の証言
日本の漫画(劇画)を見てマネをした。


日本映画や歌謡曲が禁止されているのは周知のことですが、禁止されているが故に余計に興味をそそる部分もあるのでしょう。

日帝時代には大半の朝鮮人は日本の圧政に対して抵抗したのですが、「日進会」と言う親日グループが存在したそうです。 どこの国でも権力者に擦り寄って保身・出世を願う人々はいるものです。
イングリッド・バーグマンとハンフリー・ボガードが主演した名作「カサブランカ」の最後のシーンで、 ボガードがピストルでウイスキーの瓶を打ち抜くのですが、そのウイスキーの銘柄は「ビシー」です。 ナチスドイツに制圧されていたフランスでは親ナチスのビシー政権が存在したのです。 監督はウイスキーの瓶を撃たせて、反ビシー・反ナチスの象徴としたのです。


長くなってしまいましたが、「一進会(イル・ジン・ヘ)」と同じ発音の「日進会」が過去に存在したことは何かの関連性があるように思えてなりません。 これだけの組織が劇画を読んだだけで自然発生的に形成されるとは思えません。 日本の裏組織との関係があるのではないでしょうか。

警察は「一進会」撲滅に対して「戦争宣言」をしました。 事実、駅で高校生/予備校生が尋問されているのを見かけるようになりました。


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