1997年7月4日号
ギョッ!とすること


こちらの人には当たり前すぎて何でもないことが、 私たち外国人から見て「ギョッ」とすることが時々あります。 その逆で、日本人の持物や仕草がこちらの人に対して「ギョッ」とさせていることも多いのでしょう。 それぞれの国には独特の風俗・習慣があるのですから当り前と言えばそれまでですが、 韓国の場合は人々が同じ顔をしていて、つい外国にいることを忘れてしまうため、 「ギョッ」の程度が大きいものです。

今日は私が見たことや、韓国人が私を見て「ギョッ」として指摘されたことをまとめてみました。 但し、観光案内の本などに頻繁に書かれている有名なことがらは省略しました。

立て膝
当地の家には畳が無いのは当然で、たいていはオンドルの床です。 日本式の正座は無く、男性はアグラで、 女性は片足を立て膝にして座るのが伝統的な座り方です。 ちょうど、日本のアグラと同じ姿勢から片方の足だけを立て膝にするのです。 この座り方をするために民族衣装のウエストラインが胸のあたりにあるのが頷けます。 但し、最近は洋装でスカートの場合はその姿勢ができないので、どうするのでしょうか。

先日、地下鉄の長椅子で、私の前に座ったズボンを穿いたアジュモニ(オバサン)が立て膝をして、 気持ちよさそうに居眠りをしていました。 「ギョッ」としましたが、日本でもお坊さんが電車のシートの上で正座しているのを見ますので、 それと同じと思えば納得できました。

煙草をトントン
私のアパートから50mの距離にイタリアン・レストランがあります (と言っても、メニューはパスタがほとんどですが)。 インテリアは古材木を使い、パティオ的な、それらしい雰囲気を出しています。 でも店の名前はスペイン風の「パロ・アルト」と言い、一貫性がないのが笑えます。 (サンフランシスコの近くにはパロ・アルト市があります。 駐車違反で40ドルの罰金を払った経験があります)

毎日、朝昼晩と唐辛子では舌がやられてしまうので、1週間に1回位はそこで夕食をとります。 客層は若い男女、もしくはグループで占められています。 値段がそれほど高くないので、いつもこみあっています。
先日、私の隣の席にいた女性2人vs.男性2人のグループの一人のアガシが、 生ビールを飲みながら、火の着いてない煙草を盛んにテーブルに叩きつけているのです。 私は「止めた方がいいよ!、 トントンするのは葉っぱを詰めて口の中に葉っぱがこぼれないようにするためで、 フィルター付きの場合は不必要で、 それをやると煙の通りが悪くなり、不味くなるよ」と言ってやりたくなりました。 誰から覚えたのか知りませんが、それがカッコいいと思っているのでしょうか。 まあ、10年前には女性がレストランのような公衆の場所でビールを飲みながら煙草を吸うことが無かったのですから、 煙草の吸い方が板に付いてないのはしょうがないでしょう。

汁かけ飯
正確に言うと「汁かけ」ではなくて、「汁の中にご飯を入れる」ですが、 韓国ではそれが普通で、ご飯と汁を別々に食べるのことは少ないです(別々でも行儀が悪いわけではありません)。 昼食はいつも社員食堂ですが、同僚が「ミスター・オーはいつもご飯と汁を別に食べるが、 ご飯で薄めずに汁だけを飲むと辛すぎるのではないか」と聞かれました。 私は「韓国のご飯は美味しい。 韓国の汁は唐辛子の味が強すぎて、 混ぜると折角の美味しいご飯の味が消されてしまう。 また、韓国の汁は辛いから美味しいのであって薄めるなんてとんでもない。 日本人はそれぞれの素材の味を楽しむのだ。 韓国のインスタント・ラーメンの袋にはダシの粉末と麺を最初から一緒にして煮るように書いてあるが、 私は麺だけ茹でて、火を消してから粉末を入れる。 辛ラーメンの麺だけで食べてごらん。 美味しいよ。 それからカレーラースもビビンバみたいにかき混ぜない方が美味しいよ。」 と答えました。 同僚は、「そうか」と言う顔をして黙ってしまいましたが、「ギョッ」としたのでしょうね。


まだまだありそうですが、長くなるので別の機会に書くことにします。


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