良い音のするアンプ

2009.1.30


《ネット調べた情報》
オーディオアンプの音の違いは厳然として存在します。しかし、どのような傾向をもったものが良い音なのかは人によって様々で、我々アンプを自作する人にとって方向性に悩みます。Webや書物の記事ではもっぱら官能的な評価だけしか書いてないことが多いです。そのような中にあって、聴感まで含めて研究している人たちもいます。以下にリンクする信州大学工学部の研究は大いに参考になります。
 
http://acousticsg.shinshu-u.ac.jp/acoustics/paper/
 
上記は、音響に関する幅広い論文集ですので、その中のオーディオアンプに関連が深いものとして以下をピックアップします。
 
リンク1:エレキギターの音色に関する基礎的検討
 
リンク2:音楽における振幅歪の検知限界と音色の好みに関する検討
 
リンク3:オーディオアンプの音質評価 ―トランジスタ,FET 及び真空管回路の比較検討−
 
リンク4:音楽再生時における物理的歪と音色の好みの関係
 
友人のPete Millettも優れた実験を行い、以下のWebで発表しています。
 
リンク5:The Sound of Distortion
 

いずれも優れた論文ではありますが、主として振幅歪みと聴感の関係について研究したもので、過渡的な特性についてはほとんど述べられておりません。測定方法や評価方法がまだ確立されていなく今後の課題でしょう。しかしながら、リンク1の論文ではエレキギターのアタックについて少し述べられており、今後の研究成果発表が待たれます。

《私の対応》

上記論文を読んだ結論として、今後の私のアンプ造りの方向性として以下が良さそうだと思い始めています。

*高調波歪は、3次歪までに抑え、それ以上の高次の歪は極力減らすようにする。

*数ワットの出力まで、THD=3%以下として、3次歪成分を2次歪成分よりも低く保つ。

*アッタク感を良く再生できるよう回路設計的に配慮する。これを実現するために、無闇にスルーレートを上げるのではなく、入力信号のエンベロープを忠実に再現できるような回路とする。

*S/Nを高く保つ。上記論文には触れられていませんが、S/Nが悪いと音がぼやけるのは当然ですので、設計や配置、配線方法を工夫することは重要かと思います。


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