次期大統領の金大中氏は「韓国の民主化はこれからだ」と言っているそうですが、 私が韓国に住むようになってから、日本にいたときには考えてもいなかった「民主主義」とは何だろうと思うことがあります。
もともと日本から出た思想ではないので「デモクラシー」と言う英語を「人民が主人」 と翻訳(造語)したものでしょう。 日本にいたときには「普通の人が選挙で代表を選び(普通選挙)、代表が政府を形成し政治を行う」 それだけあれば民主主義であると漠然としか考えていなかったものです。 その意味だけであれば、現在の韓国はすでに普通選挙も行われているし、大統領に至っては直接選挙で、 充分、民主的になっています。 今さら金大中氏が「これからだ」と言うまでもないでしょう。
私が社会人になったころの仕事は外国とは全く関係が無く、日本の中だけの知識しかありませんでした。 その後、仕事も変わり、以前にも報告しましたように初めて訪れた外国が韓国でした。 また、会社に来ていたアメリカ人とも机を並べて一緒に仕事をすることも経験しました。 そのような外国の雰囲気を身近に感じるようになってから、特にアメリカ式の民主主義と言うものが、 単純に選挙だけでなく、「チェック&バランス」が国の制度あるいは運用面で充実していることが日本や韓国とは大きく違うことに気が付きました。 もちろん、アメリカの社会にも数多くの問題点があることは言うまでもないですが、 わずか200年の歴史しか無い国が世界一の繁栄をエンジョイしているのは間違いの無い事実です。 しかも、その200年間に基本的な体制が変わっていないのです。 その意味において、アメリカ合衆国と言う国は世界のどの国よりも現在の社会体制での歴史が一番長い国なのです。
私はアメリカの民主主義を見て感じるのは「チェック&バランス」がうまく作用し、 国が「怪しい道」に進もうとしているときでも必ず「自浄作用」が働き、結果的に200年も続いたものと思います。
日本や韓国の民主主義は戦後アメリカから教えられ、形式的には普通選挙や三権分立などが取り入れられましたが、 もう一つの重要な側面である「チェック&バランス」がまだまだ不充分であると思います。 特に韓国では大統領に権力が集中し過ぎているので、うまく行っているときは即決でどんどん突き進めるのですが、 誰もブレーキがかけられないのでは、危険な方向に行きだしたら破局しか待っていません。 また、賄賂社会と言われますが、査察制度(つまりチェック)はどうなっているのでしょうか。 前大統領に死刑判決がでるような事態を見てますと、三権分立の一つの柱である司法さえも大統領のコントロール下にあるように見えます (前大統領の悪事を容認しているわけではないので誤解がないように)。
具体的にどこを直したらいいかとは言えませんが、韓国で何か事件が起こると「チェック&バランス」はどうなっているのだろうと、よく思います。
とりとめの無い話ですが、「民主化はこれからだ」と言うコトバに触発されて書いてしまいました。 新大統領がどのような手を打ってくるか、外国人の気軽な立場で、お手並み拝見です。