今回の大統領選挙で当選した金 大中氏が仲間に引き入れた大物人物として、 金 鐘泌元首相と、浦項製鉄所(略称:POSCO)の創始者である朴 泰俊氏がいます。 今日は休みでしたので浦項製鉄の本社ビルに行ってきました。
場所は地下鉄2号線の駅番号20番の「宣陵(ソルルン)」駅の近くです。 このビルは外観がユニークで目立つビルです。 それもそのはずで、製鉄会社らしくコンクリート造りではなく、 鉄骨で造られており、石などの建材を床、壁に使用しています。 外観は総ガラス貼りのツインタワー形式のビルです(写真参照)。
中に入って、まず驚いたのがメインテナンスがいいのか「ピカピカ」に光っているのです。 専属の掃除人をたくさん雇っているようです。 さすがに国家の威信をかけた会社だけのことはあります。 このビルは別の会社も入っておりますが、浦項製鉄は上の方の階に入居しています。 最上階の29階は重役室と書いてありましたので、朴 泰俊氏もそこの住人だったのでしょう。
一階に鉄に関する展示室がありましたので、見学してパンフレットを貰ってきました。 以下、その内容からの転載ですが、韓国の製鉄産業の巨大さが判ります。
日本 | 1億トン |
USA | 9千万トン |
中国 | 8千万トン |
ロシア | 5千万トン |
韓国 | 4千万トン |
新日鉄 | 日本 | 2、684万トン |
浦項製鉄 | 韓国 | 2、343万トン |
British Steel | UK | 1、574万トン |
Usinor Sacilor | France | 1、550万トン |
Riva | Italy | 1、440万トン |
こうやって眺めると、日本から技術供与した浦項、中国(宝山など)が世界的なシエァーを持っているのが良く判ります。 何かの本で読んだのですが、70年代の始めに浦項の話が日本に持ち込まれたときに、当時の稲山新日鉄会長は、 韓国に対しては日帝時代のこともあるので積極的に協力すべきであるとプロジェクトを進めたそうです。
POSCOビルの正面玄関前には今年になってから据え付けられたステンレス製の巨大なオブジェがありました。 題名は「AMABEL」と言い、アメリカ人の制作によるものです。 説明によると、ピカソの抽象画の雰囲気を3次元で表現したとのことです。 残念だったのは韓国人による制作でなかったことです。 以前、ソウル北の郊外にある屋外彫刻美術館に行ったことがあります。 また、以前の「ソウル便り」で書いたようにインダストリアルデザインなど、 韓国の現代造形/美術もなかなかのものと感じていただけに残念です。
金 大中次期大統領もいいパートナーと手を組んだものです。 これだけの会社を育て上げた実績がある朴 泰俊氏の力をうまく引き出して、
経済の建て直しに頑張ってほしいものです。
なお、浦項には今でも朴氏がオーナーを務める大学があります。
2000億円を投資した立派な大学だそうです。 私の出向先の会社に卒業生がいますが、
科学/技術系の優秀な社員に与えられる「兵役猶予」の特典を受けている優秀な技術者です。