1997年12月6日号
外国人を食堂に案内する
先週は日本と香港から来客がありました。 仕事が終わった後に韓国らしいところに案内しないと、
ホテルで洋食や日本食だけを食べていたのではつまらないです。
その日本人の来客は始めて、香港人は2回目の韓国訪問ですが、仕事で来たため、韓国に興味を持った観光客とはちがい、基礎知識はありません。
結果的に、仕事後は韓国料理とアガシのいる飲屋の連日のコースになりました。
昼食は会社の食堂で日替りの定食1種類だけですので、滞在中は韓国料理/サブカルチャーの勉強になったことでしょう。
- 毎日の夕食
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- 第1日目、カルビ
初日は定番の「生カルビ」と仕上げに食べる「水冷麺」です。 韓国に来てこれを食べずに帰らせたら、顰蹙ものです。
初訪問の日本人はサイドディッシュの「ケジャン(生カニの辛子味噌あえ)」を美味しいと言っていました。
始めて食べる日本人でこれを「不味い」と言う人は見たことがないですね。
確かに美味しいのですが、甘みがあるため、私のような「辛党」ですと2切れも食べると、それ以上食べる気にはなりませんが...
- 第2日目、刺身
会社の近くの鷺梁津水産市場内の刺身料理店に行きました。
気温が低いため、刺身の盛り合せが美味しかったです。 前回の失敗に懲りて「日本の醤油」を持ってくるように頼んだら、
「キッコーマン」の小瓶が出てきました。
一緒に行った韓国人同僚は日本のことを良く知っており、日本人はこれが好きだろうと言って、
「カジキ」、「生ウニ」、「ホヤ」を盛んに勧めます。 残念ながら私の好きな「ナマコ」は入っておりませんでした。
刺身は「ヒラメ」など白身が中心で、遠洋ものは少なく、カジキが少し入っているだけでした。
- 第3日目、ブル・ナk・ジョンゴル
香港人が加わっているため、中国料理の「麻ら火鍋(マラホウコウ)」とどちらが辛いか試して見ようと、
「ブル・ナk・ジョンゴル」にしました。 注意しないといけないのは、韓国人が「日本人は辛いものを食べられない」と、誤解していて
(または通説を信じこんでいる。 脚注参照)、頼みもしないのに唐辛子の量を勝手に減らしてしまうことです。
私は「この人は中国人だから、辛いものが好きなので、唐辛子をたくさん入れて欲しい」と念を押しました。
以下は香港人と日本人の感想です。
香港人:「麻ら火鍋」は痺れるほど辛いだけで他の味がないが、これは色々な味がミックスしていて美味しい」
日本人:「これは辛いから美味しいのであって、勝手に唐辛子を減らされたら不味かったでしょうね。
でもこれだけニンニクのスリ身が入っていると体にいいでしょうね。」
- 第4日目、サム・ギョp・サル
香港人は帰ってしまったので、日本人同志、2人だけです。
彼は肉が好きなので、今度は豚肉にすることにしました。
豚肉はほぼ100%国産で自給できるそうです。 価格は牛肉の1/2から1/3で済み、
日本と同じ感じです。 アメリカに行くと牛肉も豚肉も同じ値段ですから不思議な感じがします。
石板の上で焼くことを期待していたのですが、この店は無煙式のガスコンロでした。
レタスで包んで食べるための具が出され、その中に私の好きな「パジョリ(葱を刻んで、唐辛子粉と油で和える)」
が入っていました。
爪楊枝は木製ではなく、ゼラチンのようなもので作ってあり、残飯に混ざっても、しばらくすると、
溶けてしまうそうです。 残飯を食べる豚が口の中を怪我しないようにと、韓国人が発明したもののようです。
私が若いときに、会社の食堂で爪楊枝を残飯の中に捨てるなと、良く言われたものですが、
マナーを教えるよりも、捨てても問題が出ないものを開発するとは、グッドアイデアですね。
食事の仕上げは「内臓湯」です。 日本の焼肉屋ですと、内臓も焼いて食べることが多いですが、
韓国で滅多に焼いているのを見ません。 「内臓湯」もメニューに書いてある店は少ないですね。
この店は他にも「ソモリ(牛の頭)・グッ・パ」もありました。
でも日本で良く見かける「カルビ・グッ・パ」と言うのはソウルでは見たことがないですね。
日本にある韓国料理店とのよくある違いの一つでしょう。
始めて韓国を訪問した来客に、典型的な韓国の食堂料理を食べて貰うことができたと思います。
いずれも、私の過去の「ソウル便り」に出てきたもので芸が無いですが、韓国料理は種類が少ないので、
こんなものでしょう。
今日は「食べ物」編でしたが、明日は「飲屋」編を報告します。
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脚注
当地の年配の人と話していると、日帝時代の韓国人は自由に砂糖が食べられなかったようです。
国産品は無く、台湾などからの輸入で、産出量が豊富でなく貴重品だったのではないでしょうか。
日本人が自由に食べていて、韓国の子供達は羨ましかったものと思われます。
日本人が時々くれた氷砂糖が美味しかったと言いいます。
このような背景と、「唐辛子料理は我々の民族の***」などと言うナショナリズムが結び付いて
「日本人は甘いものが好きだ」と言う通説/誤解が広まっているように思います。
なお、「砂糖が貴重品だった」と言うと、驚かれる人もいるかも知れませんが、
日本でも江戸時代には砂糖は無かったし、現在でも開発途上国の中には政府管理にして、
国民が安く入手できるようにしている国だってあるのです。
甘いものを食べたいと言う欲求は、開発途上の国に共通なのでしょうか。
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