1997年11月30日号
タコPC奮戦記

私のインターネット環境は、会社では常時TCP/IPに接続されているPCで仕事をしているため、 快適の一言に尽きるのですが、アパートではプロバイダにPPP接続して利用しています。 しかも、使っているPCが日本から持ってきた旧式の386SX 16MHzではWindowsもままなりませんでした。 そこで、PCのアップグレード作戦を思い付いたのです。 と、言っても新品を買ってもすぐ古くなるし、「元祖、AT互換機マニア」を僭称する私(脚注参照)としては何とか中古を使いこなそうと思い立ったのです。


中古品を捜しに龍山の電気街を見て回ったのですが、以前報告したとうり、粗大ゴミとしか思えない機械でも50万ウォンの値段が付いているので、 馬鹿らしくなり諦めました。 韓国人同僚にこのことを話すと、「Pentiumに買い換えたので、以前の古いマシンを30万ウォンで買わないか」とのことで、 すぐに飛びつきました。 しかもハングル版Win95が動いているので動作には問題無いとのことでした。

日曜日に車でアパートまで持ってきてくれました。 確かに、Win95は動いております。 直ちにHDDをフォーマットしてOS/2のインストールを開始したのですが、 インストールDISKの2枚目でクラッシュしてしまいます。 こんなPCは初めてです。 確かにOS/2は気難しいところがあり、少しでもハードウエアがおかしいと、動いてくれません。 でもこんなにひどい症状は初めてです。 中を開けていろいろやっているうちに、 VLのSVGAカードを破損してしまいました。 韓国は空気が乾燥していて静電気が起こりやすく、 その放電で壊してしまったようです。 これじゃあ「元祖、AT互換機マニア」も泣きますね。 これで、30万ウォンをドブに捨てたか、と思いました。 とりあえず、ATバスのVGAカードを友人から借りて、DOS/Vだけはインストールしました。 翌週、清渓川の電気街に「ノリトル」を買いに行ったついでに、個人経営の小さなPCショップで、 VLのSVGAカードが無いか聞いてみましたら、中古ならあるとのことで、3種類くらい見せてくれました。 どれも埃を被っていて怪しい感じでしたが、2万ウォンと安いので、ダメモトで買いました。 ついでに中古のマザーボードも見せて貰いました。 こちらも3万ウォンと安いのでドクサラで一緒に買ってしまいました。

アパートに帰り、早速、試してみると、両方とも動くのです。 おおーー、これで運が向いてきたと、 気を取り直して、OS/2のインストールに挑戦しました。 でも、やはりOS/2のインストールはできませんでした。 今度は前のボードよりはマシですが、E−IDEのCD−ROMをうまく認識できないようです。 BIOSをアップデートすればよくなるかもしれませんが、新しいBIOSの入手も難しそうなのでOS/2は諦めることにしました。

買ってきたVLのSVGAカードを良く見るとVRAMが1MBしか付いてなく、 あと1MBの増設用にソケットが付いています。 そこで、またまたハングリー精神が沸き起こりました。 破壊したカードのメモリだけを外して、新しいカードに載せるアイデアです。 道具は無いのですが、サバイバル精神を発揮し、破壊したカードのメモリ付近を台所のガスレンジで裏から加熱し、 半田が溶けてきたころを見計らい、裏返しにして軽く叩くと、見事にメモリICが外れました。 鋏を使って半田の屑を丹念に取り除き、新しいカードのソケットに差し込みました。 テストすると、 見事に動作しました。 これで1024x768ドット、6万4千色の表示が可能になります。

こうなるとDOSでは物足らなくなります。 と、言っても私はWin95を買ったことも使ったこともなく、 Win98の発売が噂されている今ごろ、Win95を買うのも馬鹿らしく思いました。 そこで、丁度、家族が韓国に遊びに来るのを利用して、昔使っていたWin3.1を持ってきてもらうことにしました。 もう使うこともないとは思っていましたが、捨てずにFDを整理して判りやすいところにしまっておいたのが良かったです。 電話で家族に依頼すると、すぐに見つけ出し、韓国まで持ってきてくれました。

Win3.1用のソフトには今まで興味が無く、調べたこともありませんでしたが、 必要に迫られてインターネットで調べてみると、結構、メーカーのサポートがなされています。 Win3.1はこの10月にもまたアップデート用の修正ファイルが出ているし、 Cirrus Logic社のSVGAチップのデバイスドライバも今年になってから修正版が出ています。
また、WebブラウザはNS、IEとも今年になってからバージョンアップされています。 これらブラウザは、韓国のプロバイダに加入したときに、記念に貰ったCD−ROMに入っていました。 ハングル版だけかと思いましたが、「国際版」として入っており、日本語のものも入っていました。
日本では「インターネット=Win95=Pentium」と言うのが常識になっていますが、 メーカーでは、まだまだWin3.1もサポートしているのです。 ソフトのインストールでもWin3.1を忘れてしまって手を焼きましたが、最後にはうまく動作させることができました。

以下に、タコPCのスペックを示しますが、3年程前には最高のスペックだったのです。 PCの価格は1週間に1%づつ値下がりすると言われているのが実感できます。

タコPCの仕様
 項 目  仕 様  備 考 
MBSamsung社製Cache:256MB, WB
チップセットSiS 461 
CPUi486DX2 66MHz実際にはDX33のODP
DRAM16MB72Pin SIMM 1枚
HDD520MBSeagate社
FDD3.5 & 5.25
SVGACirrus5428 2MBVL
MODEM韓国製 AT BUS, 33.6kbpsCOM3で使用
マウス中国製シリアルマウスCOM2で使用
CD−ROMCreative Lab2倍速
モニタ14”マルチシンク
電源AC220V、60HzPCモニタとも


苦労しましたが、うまく動くようになりました。 これでアパートからFTPもできますので、 ホームページのメンテナンスが可能になり、インターネット・カフェに行く必要がなくなりました。


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脚注

まだDOS/Vが存在しない1989年に、IBM PC互換機が欲しくて、 マイレージで貰った航空券を使って香港まで買出しに行きました。 日本語を出すために、プロサイドのAXキットと輸出用のモニタを買いました。 ホテル代を含めて全部で45万円くらいかかりましたが、当時は同じスペックの国民機ですと、 100万円くらいしたので、友人に「どーだ、スゲーだろー」と自慢したのですが、 そのスペックは今回のタコPCよりも数段劣り、今まで使っていた500円のPCくらいの性能でした。 そんなに昔の話ではありません。 PC技術の進歩の速さに驚かされます。

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