1997年11月19日号

ファミコン


先週の土曜日に、久しぶりに清渓川の電気街に行ってきました。 特に買いたいものも無いのですが、世運商街内外のゴチャゴチャした雰囲気と町工場の熱気を味わうのが好きです。 龍山は新しくて奇麗ですが、このような雰囲気に欠けますね。

世運商街の中を歩いていると、「何を探しているの?」と、呼び込みのアジョシが盛んに声をかけてきます。 言葉が良く判らないので相手にしませんが、中には「裏ビデオや裏CD−ROMがあるよ」と、言っている人もいたようです。

以前、業務用ゲームマシンについて報告しましたが、読者から家庭用ゲームマシンについて知りたいとの声が寄せられていましたので、 探してみました。 ゲームマシンには興味がないので、過去には気に留めていなかったのですが、良く見てみると、 かなりの種類のマシンが販売されているのです。 今回依頼されていたのは、外観がプレイステーションなのに、 ファミコンのカートリッジソフトが動くもので「ノリトル」と言う名前です。 韓国固有語で「遊び道具」と言う意味だそうです。 それにしても固有語の「トル(道具)」が英語の「ツゥール」と発音が似ていて意味が同じと言うのも面白いです。 これも、その昔、韓国人がイギリス人に教えてやったことになっているのでしょうか。

一軒づつ店先をのぞいて「ノリトル」のハングルを探していたら、ついに見つけました。 値段は4万ウォン(約5千円)とのこと。
これ以外にも各種のゲーム機が売られており、ゲームファンの方はこれだけでもソウルに来る価値があるのではないでしょうか。 その他、新品/中古のゲームソフトも豊富で、メガドライブのカートリッジでも輸出用で外形が違うものなどもありました。


ノリトルを発見したので、次は別の方から依頼されていた、オーディオアンプ用の「音のいい」トランジスタを探してみました。 かっての日本では大量に生産されていたそうですが、コストダウンの荒波にもまれ、このようなタイプのものは製造中止で、日本では入手できないそうです。 韓国のジャンク屋ならば、在庫してないか?と、言うのが依頼です。 結論から先に言いますと、この手のものは日本より入手が難しいです。 一般に韓国製品はコストや外観で勝負していますので、本質的なポイントである「音がいい」などの物差しが当てはまらないからです。 「鳴ればいい」、「安ければいい」と言うのが評価基準でしょう。 また、韓国では素人が音のいいトランジスタを使うなどの文化が無いようで、個人向けに5個、10個と売ってくれる店がほとんどありません。 世運商街付近に一杯ある部品店も、100%プロ向けの店と言っても過言ではないでしょう。

似たようなことが、自作PCについても言えます。 龍山のパソコンショップにはあれだけの店があるのですが、 品数が少なく、日本のように、「XX製のマザーボード」とか「YYのSCSIカード」などのマニアックなものを置いている店は少なく、 安ければいいと言う感じです。


日本にもかっては「四畳半メーカー」と呼ばれた零細工場が一杯あったのですが、 世運商街付近では、今でも花盛りです。 5坪くらいの工場に1台だけの工作機械 (旋盤、プレスなど)を置き、社長兼職人のおじさんが一生懸命作業している店が軒を並べています。 日本では、このような中から、ディスコ、JAPAXなどの世界的に有名な会社が出現したのです。 清渓川から、今後、世界的な会社が出現するのか、見守って行きたいと思っています。


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