1997年11月5日号

台湾の料理(台湾、その5)


ご承知のように中国料理には「四川料理」、「北京料理」など、地方ごとの特色ある料理がありますが、 台湾ではその全てを食べることができます。 店によって各地方の特色を出しています。 日本食や洋食のレストランもありますが、その比率は韓国におけるのと同じくらいで、 日本のように世界中の料理が容易に食べられる状況ではありません。 ちなみに、韓国料理店も少ないですが存在し、日本で食べる焼き肉よりも韓国の本場に近い味がします。

今日は中国料理に絞って紹介します。 なお、庶民的な飯屋、麺類、餃子ハウスなどは安いですが、 ちゃんとした中華料理店はどこも高いですから、「現地だから安いだろう」と思わないで下さい。 平均的には横浜の中華街で食べる値段と同じと考えていいでしょう。


中国料理の種類

私も全ての種類は知りませんので、印象に残ったものを列記すると以下のようになります。
北京料理、四川料理、広東料理、上海料理、杭州料理、台湾料理
日本ではあまり有名ではありませんが、「台湾料理」というカテゴリーが存在しているのです。

北京料理
「清」の時代から現在の「中華人民共和国」まで首都であったわけですから、宮廷料理として格式のある料理から、 庶民的な「餃子」まであります。
高価な料理として有名な「燕の巣」や「フカヒレ」なども台湾で食べることができます。 私も食べたことがありますが、こういったものは「うまい、うまい」といってお腹一杯食べるものではなく、 珍味として、少しだけ食べましょう。 はっきり言って、フカヒレなどをたくさん食べ続けると、 春雨を食べているような気持になってきて、お金を捨てている感じになります。 「燕の巣のスープ」には「ココナッツミルク」を垂らして食べるのが普通のようですが、 これは推薦しません。 その甘さが燕の巣の微妙な味を台無しにしてしまいます。

北京ダックの看板も良くみかけます。 昔、有名な香港のシャングリラホテルで食べたのと比べ遜色ない味がしますので、 台湾の北京ダックも捨てたものではありません。

北京料理のもう一つの横顔は、韓国料理で言うところの「粉食」です。 北京地方は気候が寒いことと、水利の関係でしょうか、米が取れないので、小麦粉をベースにした、 麺類、シューマイ、ギョーザのたぐいです。 こちらは庶民的な値段で、美味しい店を見つけだすと、 得をした気分になります。
麺類で一番ポピュラーなのは「牛肉麺(ニョー・ロー・メン)」です。 「読んで字のごとし」、の内容で、 牛肉の塊が入っています。 麺は日本のラーメンよりも太く、うどんより少し細い程度です。 注意しなければならないのは、「牛肉湯麺」と言うのがあることです。 こちらは肉の塊が入ってなく、 「牛肉のスープを使っている」、と言う意味です。 韓国の「カルククス」の「カル」は「刀」と言う意味ですが、 本当に刀(刃物)で切っているところを見たことがありません。 ところが台湾では、「刀削牛肉麺」と言うメニューがあり、目の前で麺の生地の塊から包丁で切り取って料理してくれます。

ギョーザについては同じく寒い地方である山東半島が有名です。 日本のギョーザーのようにフライパンで焼くのではなく、茹でてあります。 ですから、崩れないように、 皮が厚く、皮自体の味を楽しむことができます。 茹でる時に、湯が皮の内部に染み込み、 内部の具によって、スープになっています。 噛むと、中のスープが出てきて、大変美味しいです。 このタイプのギョーザはメニューには「水餃(スゥィ・チョゥ)」と書いてありますので、すぐ判ります。
私は台湾に出張してホテルのチェックインをしたならば、直ちにホテルの隣にあるギョーザ屋に行き、 水餃10個と「台湾ビール」を注文します。 その時、「また、帰ってきた」と実感するのです。

北京料理を売り物にしている店の名前には「京」や「平」の字が入っていることが多いです。 台湾では「北京」と言うのを嫌って「北平」と言うことがありますので、その「平」を取っているのです。 ギョーザについては「山東」と言う看板が目についたら、本場の味に自信を持っている店でしょう。

四川料理
ご存じ、辛い料理です。 店の名前に「川」の字が入っていることが多いです。 ここに入ったら、定番の「麻母豆腐(マーボドーフ)」を必ず注文しましょう。

なお、もともとは四川料理なのでしょうが、「麻ら火鍋」と言うのがあり、専門店になっていることが多いです。 韓国料理の「ジョンゴル」や日本の「寄せ鍋」に近いものです。 注文すると、中華鍋に大量に唐辛子が入ったスープと基本野菜が入った鍋とガスコンロが出てきます。 中に入れる具は個別に注文するのです。 具は次のようなものです。

魚の切り身、ハンペン、肉、野菜、蝦や蟹、貝、牛やウサギの血を固めたもの

これは一番辛い料理ですが大変人気があります。 韓国の同僚に「今度、一緒に出張したら食べに行こう」と約束してます。 なお、ほぼ同じですが、唐辛子が入っていない、単に「火鍋」と言うのもあります。

上海料理
これも、香港の観光ガイドブックに書いてあるのと同じですので、詳細は省略します。 特筆すべきは「上海臭豆腐」です。 高級料理店でも出ますが、屋台のようなところでも売っています。 この臭いを嗅がないと台湾へ来た気がしないという日本人もいるほどです。 私は「発酵させて腐らせた臭い」と思っていたのですが、知人(日本人)の元台湾人の奥さんが家庭で作ってくれるそうですが、 天ぷら油を低い温度にして、普通の豆腐に何も付けずに時間をかけて揚げると、あの臭いが出てくるのだそうです。 これなら誰でも簡単にできるので、もの好きな方は実験してみてください。

杭州料理
杭州は毛沢東が生まれたところで、貧しい地方だったようです。 日本の家庭料理のような感じがして、もともと庶民的な料理だったのでしょうが、最近は店も少なく、高級店しか見つかりません。 日本人には親しみやすい味ですから、見つけたら入ってみて下さい。

台湾料理
ちょっと味付けが濃いですが、日本料理に似ています。 煮物などもあります。 やはり、台湾に来たからには一回はこれを食べないと気が済まないでしょう。 日帝が来る前からあったのか、日帝が来てから、中国料理と日本料理のそれぞれの良さを巧みにミックスしてできたのかは判りませんが、 なかなかのものです。

有名な店は以下のとうりですので、ホテルのボーイに聞いて行ってみるといいでしょう。

青葉(林森北路)、

欣葉(台北に何ケ所かあり、台湾料理以外のメニューもあり)、

台南担子麺(ここは海鮮料理です。龍山寺の西華街にあり、外から見るとみすぼらしい感じの店ですが、 内部は豪華シャンデリアで、全てウエッジウッドの食器というデラックスな店です。 外観は立派だが内容が伴わない(見えっ張り)の韓国と反対の行きかたの店です。)


まだまだ、美味しいものがたくさんありますが、このくらいにしておきます。 やはり食べることに関しては中華料理はフランス料理と並んで、世界最高でしょう。


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