1997年11月4日号

台湾の住所表示(台湾、その4)


ガイドブックに書いてあることをこのページに書いても意味がないですから、 話題を変えてみました。


アメリカの住所表示は「Street」とか「Avenue」など、道の名前になっていることはご存じでしょう。 つまり、アメリカの住所はその土地自体の住所/番地を示しているのではなく、道路の名前を言い、 その道路の何番目の所かを表しているのです。 土地に着目すれば、その道路の当該番地の横にある土地、 と言う意味です。 土地自体には名前が無いことになります。 ですからアメリカ中の全ての道には名前が付いています。
たまたま、良く知っているアメリカの例を出しましたが、ヨーロッパの国々も多分同じで、 日本や韓国のように土地自体に名前をつけるのは、世界的に見て少数派ではないでしょうか。

実は台湾の住所表示もアメリカ式なのです。 初めての所を尋ねて行く時はアメリカ式の方が圧倒的に有利で、まず間違いなく目的地に到達できます。 レンタカーを借りる時に貰える簡単な地図で、「これで大丈夫かな?」と思うくらい簡単なものでも、 充分、役に立ちます。 台湾でも同様で、正しい住所聞いておき、メモ紙に書いてタクシーの運転手に示せば、 間違いなく到着します。 日本や韓国のように探し回ることはありません。

考察

以下は私が考える日本式(土地方式)とアメリカ式(道路方式)の比較です

日本では中世から農業を基本としており、さらに交通機関も発達してなく、 尋ねて来る(行く)人の便利さよりも、土地の所有権にフォーカスされていたのではないでしょうか。 また、「検地、刀狩り」で有名な「検地」も税金(年貢)を取り立てる手段ですから「土地」の概念が支配的だったのは容易に想像できます。
さらに、「村社会」と言う概念から言うと、アメリカ式ですと、背中合わせに裏隣の住民は違う住所になってしまいます。

日帝時代には、日本は韓国にも台湾にも日本式を押しつけたのは容易に理解できます(例えば、ソウルの明洞は明治町と言った)。 台湾では日帝の撤退後、道路方式に変更したのではないでしょうか。
それに対して韓国では、日帝の撤退後、名前だけは自分たちの名前に戻しましたが、 土地方式はそのまま踏襲していますね。 やはり韓国人も土地に対する執着が日本人同様に強いのでしょう。


今日の一文を見ただけでも、日本の常識は世界の常識ではないことが判るでしょう。 それでも、日本人は外国文化でも良いものは自分たちものとして取り入れようとする文化的風土があるので救われますが、 韓国にはそれが少ないので、世界の常識から取り残されてしまわないかと、他人事ながら心配になります。


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