1997年10月15日号

他山の石


東亜日報のインターネット新聞(日本語版)を見ていますと。 日本語への翻訳がおかしく感じる時があります。 また、漢語や中国原産と思われる熟語で日本語と共通なのも良くみかけます。 気が付いたことを以下に紹介します。

他山の石
韓国では日本と全く同じ意味に使われています。 他の人の土地で起こった災難を見て、自分のところにも起こらないように注意せよ、と言う意味です。 この言葉が使われるのは、天災などの物理的な災難よりも、「行い」についての他人の失敗を自分の教訓にして同じ失敗をしないようにせよ、 と言う意味に使われています。

ところが、先日、来韓した台湾人に聞くと、台湾では全く違う意味です。 他山とは他人の山のことですが、この場合は戦争の相手方と言うことです。 相手方に起こった災難は攻撃のチャンスである、と言う意味だそうです。 台湾の戦後の教育は、国民党の指導で北京語、中国本土の歴史、文化を 教えていますので中国本土と意味の違いは無いと思われます。

それにしても韓国と日本が同じ意味で、原産地とは違っているのは何故でしょう。 韓国で意味が変えられてから日本に伝わったのか、あるいは日本で変えられてから韓国に伝わったのか、 興味があるところです。

池に落ちた犬は叩け
これは日本には無い表現です。 トホホさんの掲示板では韓国の諺として書かれておりましたが、 先日、面白いことが書いてある本を発見しました。

「時と場合によっては、池に落ちた犬を叩かなければならない」。

「阿Q正伝」で有名な魯迅の言葉です。 これだけの文章では判りにくいのですが、 中国では「池に落ちた犬を叩くな」と言うのが常識であるように見えます。 ところが韓国では「叩く」のが常識のようですね。 自分に都合のよい部分を拡大するのは韓国らしいと思いました。

弱肉強食
これは韓国でも良く使われる表現です。 意味は日本と同じです。 入学試験で「○肉○食」の○に正しい漢字を入れろ、と言うのは頻発問題だそうです。 ところが韓国の食堂にはには「焼肉定食」と言うメニューが無いので、ふざけた解答は無いそうです。


ほんの一例ですが、日本、韓国は中国文化/漢字文化の影響を大きく受けながら、 長い歴史の間に、それぞれ微妙に変化してきているのが判ります。 しかも変化の方向がお国柄を表している思いませんか。


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