ミス・リ
韓国の勤務先で女性社員に呼びかけるときですが、日本で発行されている本によりますと、 ”ミス・リ”など、最初に「ミス」を付けるように書いてあります。 事実、10年ぐらい前のオフィスでは韓国人同志の間でもそのように呼んでいるのが当たり前でした。 日本語の「さん」にあたるものとして「氏(し)」があるのですが、もっぱら男性だけに用いられていたようです。 又は、肩書を最後に付けて呼ぶのが普通でした。 ですから肩書がない女性社員には適切な接尾語が無いことになりなり、 英語の「ミス」を流用していたのです。 以下に当時の例を示します。
ところが、今回赴任して昔のイメージで「ミス・リ」などと呼んでいたら、面白くない顔をするのです。 同僚に聞くと、「ミス」を付けるのは飲み屋のアガシなどのイメージが強く、最近はオフィスでは使ってはいけないとのことです。 女性でも「氏」を付けて呼ぶのが礼儀であるとのことです。 また、男性でも「ミスター・キム」などと呼ぶのは、同じく、飲み屋の従業員に対してのイメージだそうです。 ところが、やはり女性に対してフルネームに「氏」では堅苦しいのでしょうか、 心安い人に対してはファーストネームに「氏」だけ付けて呼びます。
ウンスク氏!!(桂銀淑(ケ・ウンスク)さんに呼びかけるとき)
私は仕事では英語でやっていますので、「ミス・ケ」と呼びかけることもありますが、「ウンスク氏」と呼びかけた方が、 気持よく仕事をやってくれるようです。
最近の韓国の動きを見てますと、「同じ本貫でも結婚できる」とか、「国籍父系主義の撤廃案」など、 伝統的な儒教の習慣から変化してきていますので、女性の社会的な地位の向上に伴って、「呼びかけ」も変わってきているようです。
私の同僚の名前は「白部長(ペク・ブチャン)」ですが、日本式に「ペクさん!!」と呼びかけています。 面白がって、別の韓国人が彼を呼ぶときも「ペクさん!!」と呼ぶのが流行しています。 日本では誰でも「さん」を付けることを知っているのです。 年齢や地位に関係なく「さん」を使うだけの、”便利さ”が理解されてきたのでしょうか。