1997年9月23日号

なぜだ韓国 なるほど韓国


このところ日本では祝日が続いておりますので、韓国関係の本を買ってきて読んでいます。

韓国についての本は10年くらい前のソウルオリンピック当時の韓国ブームのころに書かれたものが多く、 進歩が早い「韓国の今日の姿」を必ずしも伝えていないのが難点です。 新しい本では「嫌韓」を訴えるものが多く、「そういう意見もある」として読み飛ばすにはいいでしょうが、 このホームページで敢えて紹介することもないでしょう。

そんな中にあって現在の韓国を紹介している本で、いい本を見つけました。

著者は団塊の世代に属する年齢であるが、学生時代(今から30年近く前?)にすでにソウルへ語学留学しており、 古くからの韓国を知っている上に、’89年から再度、語学留学、’92から’94はソウル特派員を勤め、 韓国事情に詳しい。 また、現在は新聞記者の職を離れ、経営者としてシンガポールで勤務している。 そのため、新聞記者の身分では書きにくいことも書けたのではないかと想像します。

各章は一般の読者が抱く疑問に答える形式を取っています。 その一例を以下に示します。

以上は一部ですが、全部で30の「なぜ」について書かれています。
私が最初に面白いと思ったのは、やはり長年韓国に住んで得られた生の知識で書かれていることです。 本や資料で調べた事柄を書くのは正確度という観点からは必要ですが、それだけではいくら長文を書いても、 素顔の韓国はわからないでしょう。 最近、著名な評論家が韓国について書いた別の本を読みましたが、 ソウルでの居住経験がそれほどでもない私でも「それは違うんじゃない」と思ったことが多々ありました。 その意味で、この本は勧められます。 しかも書いてあることが古くないのがよろしい。 韓国在住の某氏曰く、この5年間の変化は日本の20年分に相当するそうですから、 10年前の韓国について書かれたことは今では通用しないことが多いのです。

韓国社会のワイロの横行については、かなり手厳しく書かれています。 呉 光朝の「ソウル便り」では、この点について一回も書かれておりません。 これは、そのような現場に居合わせた経験がないことによるのですが、 8月31日号で紹介した百瀬 格著「韓国が死んでも日本に追いつけない18の理由」 でも指摘されていますので、間違いないところでしょう。 ソウルへ戻ったら調査して書くことにしましょう。


日韓の間ではどうしても過去のことが影響し、フランクにものが言いにくい状況がありますが、 徐々にではありますが、この本のような庶民レベルのスタンスの本が出てきたのは良い傾向と思います。 逆に「今日の日本」について、同じようなスタンスで報告されているのか、少し心配です。


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