1997年8月29日号

並木道


日本に帰ってきて、毎日、自動車通勤です。 ソウルでは20年ぶりに地下鉄通勤をして、それなりに楽しかったのですが、 自動車通勤は別の楽しみがあります。
今回、道を走っていて、最初に気が付いたのは街路樹が違うことです。 真夏でありながら、「サルスベリ」や「キョウチクトウ」の花をよく見かけました。 気候も好みも違うのでなんとも言えませんが、ソウルでは街路樹の花は少ないのではないでしょうか。

プラタナス
ソウルの勤務先は鷺梁津水産市場の近くで、古くからある道に面しているため、 「プラタナス」の大木が奇麗です。 幹の直径が60cmくらいのものが多く、 戦前からのもののようで、立派なものです。 ところどころ、若い木が植えられているのは、補植されたものでしょう。 韓国は度重なる戦火のせいでしょうか、古い並木道が少ないように思います。 その意味で、鷺梁津のプラタナスの大木は貴重なものでしょう。

しかも、この通りは電柱がなく、枝と電線が絡まって見苦しくならないのも、よい点です。 ソウルの冬は寒く、常緑樹の並木はほとんどありませんが、「プラタナス」はポピュラーなものです。 日本にもありますが少ないですね。 葉が大きく、独特の樹皮の模様が好きです。 ヨゥイドの国会議事堂の近くにもあります。 公害に強いこともありますが、韓国の人も好きな木のようです。

ヤナギ
先日、東京に行きましたが、銀座のヤナギは健在でした。 ソウルではヤナギ並木をあまり見かけませんが、 好みの問題でしょうか。 韓国では風にそよぐヤナギの感じは好まれないのでしょうか。 中国ではポピュラーと聞いています。

サクラ
サクラ並木は群山や慶尚道が有名ですが、ソウルでもヨゥイドや新大方付近のサクラ並木も結構奇麗です。 銅雀区の国立墓地内も奇麗ですが、場所が場所だけに、「花見で一盃」と言うわけにはいかないでしょう。 ソウルのサクラは日本で見るのと同じに見えますので、韓国でもソメイヨシノが好まれているようです。

ケヤキ
成長がはやく、樹形が奇麗なので、街路樹には適しているように思います。 日本ではケヤキの奇麗な並木道が多いのですが、ソウルでは少ないように思います。 成長がはやいのでメンテナンスの手間が嫌われているのでしょうか。

イチョウ
ギンナンはポピュラーな食物ですが、街路樹としては少ないように思います。 あるいは、生のギンナンの匂いが嫌われているのかもしれません。

日本では落葉によって自動車がスリップして事故の原因になるので問題になっているようですが、 ソウルでは道路清掃車がまだ少ないので、同じ理由で並木が少ないのかもしれません。


ソウルではまだそれほど歩き回っていませんので、見落としがあるかもしれませんが、 日本の並木とは樹種の傾向が違っているように思います。

あと、庭の植木の剪定方法も違い、以前報告したヘアースタイルと同様に、 日本のように神経質なほど刈りそろえることをせず、大ざっぱに仕上げているようです。 国民性の違いでしょうか。


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