1997年8月6日号

工業デザイン


先日の「便り」で韓国の自動車のスタイルが外国と同じでなく独自のボディーになっていることを報告しましたが、 自動車だけでなく工業デザイン(ID)の分野での韓国の発展は目を見張るものがあります。 日本のID専門家の間ではすでに常識になっているのですが、 一般の日本人は韓国のこのような面をまだ認識できていないように思います。

「なんだかんだ」と言っても、自動車産業と言うものは関連するすそ野まで含めると、 巨大であり、基幹産業であるのは間違いないです。 また、自動車と言う商品は実用性はもちろんですが、嗜好品としての側面が大きいですから、 スタイル/外観が重要です。 これだけ成長した韓国の自動車産業ですから、当然のように工業デザイナーの育成も盛んです。 日本の会社のデザイナーから聞いた話では、学校もかなり整備されて来ているようです。 とにかく学歴社会ですから、有名なデザイナー学校は入学も難しいかわりに、 卒業後の就職も安定しているとのことです。 普通の大学だけでなく、各種の専門教育機関でも進学競争が激しいのも韓国社会の特長でしょう (日本でも同じですが)。

各自動車会社は優秀なデザイナーをさかんにカリフォルニアあたりのデザインハウスに修行に出しているようです。 以前、仕事の関係でパロアルトにあるデザインハウスに行ったことがありますが、 工業デザイナーでなく、デザインされたものを製造図面に落とす人でも、腕のいい人は1時間あたり 130ドルくらいだったように記憶してます。 デザインハウスは会社ですから、会社として契約するのですが、仕事をする人をご指命で、 その人の単価で契約金額が決まると言う、いかにもアメリカらしいところに関心したことがあります。 つまり、Aさんだったら130ドル、Bさんだったら100ドルという感じです。 有名な工業デザイナーですと、いくらになるか想像もつかないですね。

以上のように韓国では、自動車産業を牽引車として人材やインフラが整っていますから、 その他の産業にも波及効果が大きいのでしょう、家庭電器製品、パソコンなども結構、 スタイルがいいのです。

いくら、デザインが良くできても、製造するのが難しくては意味がないですが、 金型や金属加工技術も比例して向上してますので、最終的にいいものができるようです。

工業デザインにひっぱられているのかどうかは判りませんが、 ファションの分野の向上も著しいようです。 ただ、色彩感覚だけは日本とかなり違うようで、 先日の来客を南大門のネクタイ屋に案内したときも、渋いものを捜すのに苦労しました。 また、会社のとなりに1年落ちのブランド衣料のディスカウントショップができたのですが、 気にいるのがなくて、結局何も買いませんでした。 こちらの人は「ド派手」なものが大好きなようです。

当地ではコシノ・ジュンコさんがファション・ショーをしたり、 「Michiko LONDON」と書いたTシャツを着た若者を良く見たりします。 また、Michikoブランドの腕時計の宣伝を良くみかけます。 コシノ姉妹は韓国市場を狙っているのでしょうか? ファションの世界で日韓対抗と言うのも面白いですね。 このような日韓の争いは歓迎です。


コシノ・ジュンコさんは、かって大橋**さん達と「全ブス連」を結成して、話題になったのですが、 今でも世界をまたに賭けて大活躍しているようですね。 世界で通用する日本人が増えてきたのも楽しいことですね。


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