1997年8月4日号

輸入車


韓国に於ける国産自動車の比率について質問が来ておりました。 何かいい資料が無いかと捜していましたら、「Motor Trend」と言う雑誌を入手できました。 この本の英語版は元々アメリカでポピュラーな雑誌で、日本の自動車雑誌でも提携している会社があったはずです。 韓国語版はアメリカ版の記事を翻訳した部分と韓国内での取材記事の両方で構成されています。 従って、韓国車のアメリカでの評判も知ることができます。 コンビニ・ストアに売っていますので韓国土産に買って帰るのも面白いでしょう。
私はいつも外国に行くと、PC雑誌と自動車雑誌を買って日本でじっくり読むことにしています。

創刊号でも書きましたが、韓国における国産車比率は公称96%くらいと言われていますが、 私が街で見かける限り99%くらいに見えます。 このギャップがどうしておこるのかわかりませんが、 百歩譲って96%だとしても、世界に類を見ない国産車比率が高い国です。
これを読まれる方もよく考えて見て下さい。 世界中の国の中で国産車が96%も占めている国は思い付かないでしょう。 国産車の比率は高いのですが、技術的には日本や欧米のメーカーと技術提携している場合が多く、 独自技術がまだ少ないのが難点でしょう。
但し、外観については独自ボディーを持っている車がほとんどで、 10年前のように日本で走っている車と同じスタイルの車はほとんど見かけなくなりました。

コンピューターによるボディー設計が当たり前になるとともに、元々強い産業であった金属加工技術を生かして、 独自の金型を持っているようです。 以前にも書きましたが、労働者の街「永登浦」から「九老」にかけては金属加工の町工場がたくさんあります。 丁度、東京の目鎌線沿線のようです。 「鉄道記念館」で書きましたが、1940年代の初期にすでにSLを国産してましたので、 金属加工の技術は日帝時代から国策として当地で振興させようと言う意図があったのかも知れません。
ボディ−はコンピューターによる設計ですので、どのメーカーの車も同じような感じになってきます。 これは日本でも同じ現象を示しています。 韓国では日本と違って乗用車ではFR車や直列6気筒エンジンがありませんので、 ますます、どの会社の車も似通ってくるのです。


97年度、上半期(1月1日〜6月30日)の外国車のメーカー別輸入台数を以下の表に示しますが、 いかに少ないかが判るでしょう。 自国産業保護のため相当な障壁があるものと予想されます。
また、日本車が極端に少ないのです、技術提携している日本のメーカーが少ないのは判るとして、 それ以外の「本田」、「日産」はゼロであり、「トヨタ」は146台です。 しかもそれはケンタッキー州ジョージタウン工場で製造されたアメリカ製「アバロン」と思われます。 つまり、日本で製造された車はほとんど輸入不可能のようです。 でも、これだけ保護されても2番目に大きい自動車メーカーが倒産しそうになるのですから、 韓国経済の問題の根が深いとも言えるのでしょう。

メーカー 台 数  メーカー 台 数 
FORD1082台 CHRYSLER936台
BMW637  ROVER38 
AUDI265  VW123 
M−BENZ411  VOLVO301 
SAAB203  PEUGEOT131 
R−ROYCE1  L−ROVER10 
JAGUAR37  GM257 
TOYOTA146  SUZUKI1 
FIAT80  LANCIA56 
シトロエン43  総合計4758台

上記は半年の集計ですが、1年分として2倍を見込んで、約1万台。 国産車の統計数字がありませんが、1000万台の総登録車両から見て、 年間100万台くらいの新規登録でしょうから、やはり、輸入車比率は1%くらいでしょうね。 公称96%と言うのは商用車を含めた数字でしょう。
私が街で見かける車から、ヤマカンで言っていた、乗用車に対する数字はほぼ正しいようです。

それにしても、SUZUKIがロールス・ロイスと同じ1台と言うのは笑えますね。 韓国ではロールス・ロイスなみの超希少価値の車です。


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