1997年8月3日号

床屋


今まで一度も外国で散髪したことがありませんでした。 知らないところで髪をいじられると、なんとなく落ち着かないもので、 アメリカに3ヵ月いたとき、髪が長くなっても我慢してしまいました。 日本では理髪店は特殊技術として職人芸を競っているのですが、 アメリカでは高級店をのぞいてだれでもできる職業みたいです。 中南米から出稼ぎに来て1週間しか経ってないのにもう店に出ている、と言うような感じです。

韓国での職人芸はわかりませんでしたし、聞くところによると繁華街にある理髪店は「男性天国」とのことで躊躇していました。 理髪店が、そのような特殊サービスをしているのは台北でも同じようで、 繁華街には大きなビルが全部、理髪店というのも見たことがあります。 ソウルでは取締りが厳しいのでしょうか、そのような大規模なのは無いようですが、 繁華街のビルの地下などにそれらしき看板を見かけることがあります。 理髪店の目印は日本と同じで赤と青のラセンがクルクル回るものですから、すぐに判ります。

会社の同僚に聞いたところ、女性用の美容室に行ったら、そういう心配がないとのことでしたので、 近くの店に行ってきました。 店の名前は「O!,39」です。 店の人に聞いたら「オー・サム・グ」と読むとのことです。 私は日本語では「オー・Thank You」と発音するのでいい名前だと言ってやりました。 店のオーナーはいませんでしたが、なんとなく、日本のことを知っている人のように思いました。

技術ですが、最初は女性の熟練者が来て、電動バリカンでバンバン刈り上げです。 裾の方ばかりでなく、上のほうもほとんど全部バリカンでやってしまいます。 最後に少しハサミを使いましたが、日本のように奇麗に長さを切り揃えるようなことはしません。 全体をみて、飛び出している髪をカットするくらいです。 洗髪後のセットもドライヤーを軽くあてるだけで簡単なものです。 まだこれから入念に仕上げるのかと思っていたら、それで終了でした。 料金は12000ウオンで、特殊サービスが無い健全理髪店の2倍くらいですが、 それでも日本に比べれば半額ですから安いです。 所要時間は30分位で、早いですから急いでいる時には有効です。


韓国の男性のヘアースタイルがなんとなく日本人と違うと思っていましたが、 その秘密は散髪方法が違うからだと理解できました。 21年前に始めてソウルに来たとき、明洞で20メートル歩く毎にポン引きから声をかけられました。 どうして日本人とわかるか不思議だったのですが、ヘアースタイルが一因のようです。


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