1997年7月20日号

銃撃戦


7月16日の午前11時頃に北朝鮮の兵士14人が休戦ラインを越境し、 韓国軍兵士と23分間の銃撃戦になったことは日本でも報道されました。 北朝鮮側は82ミリ迫撃砲も使用したようです。 ソウルでは特に警戒警報も発令されませんでしたが、あとから聞いて「ゾッ」としました。 過去の世界各地の戦争を振り返っても最初はささいなことや、奇襲から始まることが多かったのです。
現在の日本では考えても見なかった戦争の恐怖が、ここソウルではあるのです。 ここから板門店までは50km位しかないのです。 東京−横浜の距離です。 従って、韓国の市民が考えている国防意識は日本人のそれとは異なってるのは当たり前なことです。 以下に会社の同僚と昼飯の時に交わした会話ですが、会話がちぐはぐになっているのがわかるでしょう。

韓国人
我々は日本が昔のように軍事大国になるのを危惧し、 日本の防衛予算についていつも注意を払っている。 すでにかなりの予算になっていている。

呉 光朝
日本では人件費が高いのと、正面装備はそれなりのものを持っているので防衛予算が高いが、 弾丸やミサイルは1週間分しか在庫してない。

韓国人
1週間? それで国が守れるのか。 北朝鮮は南北が戦争状態になり、もしアメリカ、日本が韓国に荷担すればノドン・ミサイルで日本を攻撃すると言っている。 また、中国の8基の長距離ミサイルが日本に照準を合わせているのは知っているか。

呉 光朝
日本のは軍隊ではなく、自衛隊だ。 防衛だけなら1週間分で充分だ。 あとは在日米軍が守ってくれるだろう。 中国のミサイルについては知らない。

韓国人
数は少なくても、日本のミサイルはハイテクを駆使した一発必中のものだから、 そうとうな威力を発揮すると聞いている。 ところで、何故そのような優秀な兵器を輸出しないのか。

呉 光朝
武器の輸出禁止と核兵器を保有しないことは国是だ。 日本は世界のどの国とも仲よく貿易していかなければやっていけない国だ。 緊張が高まっている一方の国、あるいは両方の国に武器を輸出することはできない。 それに、日本のハイテク兵器は門外不出にして「恐い」と思い込ませておいた方が抑止力になる

韓国人
まあ、そうは言っても、日本はいざとなれば1週間で核弾頭付きのミサイルを作ってしまうだけの工業力があるからね。 原爆の作り方は今では秘密でも何でもないし、日本には優秀なロケットもあるし、 原爆の原料であるプルトニウムは原子力発電所にいくらでもあるからね。


今回の話は軍人でも政治家でもない、ごく一般の韓国市民、 日本市民(私)が交わした日常会話ですので、内容に間違いがあるかも知れません。 両国民の認識の違いを雰囲気的にとらえることにとどめてください。

この文章で、日本、韓国あるいはその他の国の現在の政策について、なんらかの意見を言う意図はありません。 その必要があるときは、別のホームページで展開するつもりです。


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