1997年7月19日号

漢方薬街、祭基洞


韓国からのお土産品として「海苔」と「ラ−メン」を推薦しましたが、もう一つあります。 先日の来客の一人が「高麗人参エキス」を買ってくるように頼まれており、 どこで買えるのかとの相談を受けました。 依頼者は以前、お土産でもらったものが大変効果的で、 また欲しいとのことです。

私も「韓国チョ−初心者」のときはいつも買っていたのですが、その頃は若かったこともあり、 効果が判りませんでした。 西洋薬も同じでしょうが、薬と言うものは人によって、効く人と、効かない人があります。 「高麗人参」が何100年もの間、使われ続けているからには、やはり効く人には効くのでしょう。 なにしろ、日本の時代劇の映画でも親の病気を直すための高価な「高麗人参」のために娘が身を売ると言う話がありますね。

友人は前日に会った韓国人から「ホン・サム・エキス」とハングルで書いたメモを貰っており、 「これ」を買いに連れていってほしいとのことです。
10年くらい前に聞いた話で「漢方薬(こちらの人に英語で言う時はKorean Medicineと言わないと怒られます)」 を買うなら「祭基洞(チェギ・ドン)」にある「京東市場(キョンドン・シジャン)」に限る、しかも大韓民国 煙草・人参 専売公社製のものに限る、と聞いていたので、とりあえず地下鉄一号線に乗りました。 地下鉄に乗りながら「ホン・サム」の意味を考えていたのですが、「サム」は「人参」の「参」に違いないと直ぐに判ったのですが、 「ホン」の意味が判りません。 しばらくして、そう言えば中国語では「紅茶」のことを「ホン・チャ」と言うことを思い出しました。 なるほど、「ホン・サム」とは「紅参」のことかと理解しました。 韓国の人は漢字の熟語なのに表意文字であるハングルで書いて不便でないのか心配してしまいます。

祭基洞駅の改札を出て、地上に出るとむせかえるほどの「漢方薬」の臭いです。 「京東市場」はビルではなくて、その街区一帯を言い、無数の薬屋が軒を並べています。 道端には露店も出ていて、薬草だけでなく、農産物も売っています。 「ポンテギ」も売っていました。 絹を取ったあとの蚕で、茹でて食べると、なかなかの珍味です。 最近は国産の蚕が少なく、中国からの輸入が多いそうですが、ここで売っているものはまだ動いているのも混ざっており、新鮮そうでした。

大雨になってきたので、とりあえず食堂で「ドガニ湯」を食べながら時間を過ごし、 アジュモニに人参屋さんの場所を聞いたら親切に教えてくれました。 余談になりますが、インタ−ネットの他の掲示板などを見てますと、韓国で日本人と判って、 「水をかけられた」などの話が書き込んでありますが、このような直接行動を起こされた経験は一度もありません。 コトバで「チョッパリ」とか言われたことは昔(10年前)はありましたが、最近は皆無です。 どうも日本人から韓国や韓国人を見る時、バイアスがかかってしまっているのではないでしょうか。

人参屋さんに行くと、「紅参」エキスと書いた箱がありました。 友人が「さすが呉さんだ」と言ってくれたので、駐在員としての面目が立ちました。 値段は定価が2万4千ウオン(50gの瓶)に対して、千ウオンしか値引きしてくれませんでした。 専売公社の品物なので、しかたがないと諦めました。 これなら祭基洞まで来る必要がなかったですね。 なお、専売公社でも作っているのですが、民間会社製のもありますので、人参製品自体は「専売」ではないようです。


今回の話はわざわざ祭基洞まで出かける必要がなかったのですが、街を見学できて面白かったです。 あと、生きている蚕を見ることができたのも収穫でした。 カメラを持って行かなかったのが残念です。


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