1997年7月1日号
ソウル市内の地名
昨日の「議政府」に続いて、漢字で書くと味わいがある地名をソウルの市内地図から拾ってみました。
なお、漢字は日本で使われている略字体にした部分もあります。
韓国では旧字体のまま使われていますが、日本式の略字体でも通用します。
- 恩平区(ウンピョング)
- 大棗洞(デチョドン):昔は大きな棗「ナツメ」の木があったのでしょうか。
- 衿川区(クムチョング)
- 禿山洞(トクサンドン):なんとなく足が滑りそうですね。
ムソルグスキーがここを見たらどんな音楽を作るのでしょう。
- 銅雀区(トンジャクグ)
- 鷺梁津洞(ノリャンジンドン):船着場にシラサギが舞い降りてくる感じですね。
現在は東京の築地のような水産市場があることで有名です。
- 龍山区(ヨンサング)
- 梨泰院洞(イテウォンドン):ご存じアメリカ人の街ですね。 でも最近は日本人の街になりつつあったのですが、
バブル以降、値段だけ上げておいて日本人の足も遠のいているようです。
もともと李王朝時代は「異胎院」と言って、外国人の子供を孕んだ女性が集められていた施設があったところだそうでが、
同じ発音の現在の表記になったようです。
現在でも各国の外交官用の住宅が多く、立派な家がたくさんあります。
- 江南区(カンナムグ)
- 狎鴎亭洞(アップグジョンドン):現在、ソウルでもっともファッショナブルな街。
高級ブディックや飲食店が多い。 でも昔は王侯貴族が舟遊びでもしたような地名ですね。
地下鉄駅には漢字の表示がありませんが、この駅だけは壁画の中に「狎鴎亭」の文字を入れています。
韓国人もこの文字が優雅だと言うことを知っているようです。
- 清潭洞(チョンダムドン):狎鴎亭洞に隣接していて、現在は同じような感じのファッショナブルな街。
その昔は水が奇麗な池でもあったのでしょうか。
- 東大門区(トンデェムング)
- 清涼里洞(チョンリャンニドン):いかにも涼しげな名前ですが、
駅の近くには特飲街(青線地帯)が今でもあるようです。
番地に由来して588(オー・パル・パル)と呼ばれているそうです。
日帝時代には三越百貨店(現在の新世界百貨店、明洞)の近くから、
清涼里まで市電(路面電車)が走っていたようです。
- 中浪区(チュンラング)
- 忘憂洞(マンウドン):物忘れが激しい人が住んでいたのでしょうか。
折角の優雅な名前も、漢字が忘れ去られて行くようです。
私の勤務先の住所を漢字で書いたら韓国人の同僚は判りませんでした。
でも日本からの郵便は届くようです。 郵便局にはちゃんと、漢字地名表があるのでしょう。
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