1997年6月24日号

珍品・名品


韓国のTV番組には日本の人気番組をそっくりコピ−したものが多いのは有名な話です。 先日も何気なく見ていたら、アンティ−ク品の値段を当てる番組がありました。 日本での番組名を忘れましたが、こちらでは「珍品・名品」と言う番組名です。 番組構成は全く同じと言ってもよいくらい、同じです。

一般の人がアンティ−クの陶磁器、絵画、古文書を持ち込んで、 自分が想定した値段と専門家が鑑定した値段を比較するものです。 日本の番組は、イギリスBBCの「アンティ−ク鑑定会」の番組をヒントにして作られたように見えますが、 日本なりに内容を変えています。 ところが、韓国の番組は日本とそっくり同じ構成です。 もう少し、オリジナリティ−を出してほしいものですね。 私はTVをあまり見ませんが、トレンディ−・ドラマなどもそっくりなのがあるそうです。

こんなことを続けていると、日本に来た韓国人がTVを見て、日本の方がマネをしていると言いそうですね。 また、そのような「日本を下に見る」風説が簡単に広まってしまう傾向があり、 日韓の真の相互理解を阻んでいるように思います(全く同じことは日本にもありますので、 反省しないといけないですが)。

私が見た時には、李朝時代の古文書、壷や金屏風が出品されていました。 金屏風は画面で見ても見事な絵と文字が書かれており、相当な値段と思いました。 出品者は日本円で100万円くらいを予想してました。 私は500万円くらいかなと予想しました。 専門家の鑑定によると300万円でした。

古文書は13・14世紀ころのもので漢字で書かれていました(このころにはハングルはまだ無かった。) でも、これだけ古いものはなかなか無いらしく、せいぜい2・300年前のものが多いようです。 幾度かの戦乱と外国人による買いあさりで喪失/流失が多いのでしょう。

こちらの人と話していても、アンティ−クに価値を見いだす風習が最近まで無かったようで、 20年くらい前までは「李朝家具」などはたいていの家に1個や2個はあったようですが、 近代的な家やアパ−トに引っ越す時に捨ててしまったそうです。
そのころ若しくは日帝時代には、日本に持っていけば高く売れることを知っていた現地人/日本人が、 住民が知らないのに乗じて、タダどうぜんで仕入れて、儲けた人がいたようです。

仕事で関係があった、ある韓国の人の家には「伊藤博文」の落款がある掛け軸があるそうで、 換金したいと言ってましたが、さすがに、この番組に出すわけにはいかないのでしょう。 仁寺洞で見てもらったら、本物とのことです。 いつか、日本の番組に出したいそうです。

勤務先の近くには家具屋が多いのですが、店頭には「李朝家具」を模した新品の家具がよく展示されています。 また、伝統的な螺鈿家具(新品)の店もあります。 値段が書いてないですが、立派なもので、いかにも高そうな感じです。
こうやって見ると、韓国でも伝統工芸の再発見の気風は急速に高まってきているようです。


TV番組を真似た/真似されたと言ってられるのですから、 本当に平和だと感じます。 ここから50km北では同じ民族が飢えていることが信じられません。 社員食堂には年間の残飯を金額換算すると8兆ウオンとの、 クリ−ン環境を訴えるポスタ−が貼ってあります。 この無駄を省けば北朝鮮の飢餓は一気に解消するのでしょうね。


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