1997年6月21日号

社会人の進学


韓国の受験競争が日本以上に激しいのは、よく知られています。 それに伴って、子供の塾や習い事に必要な金額もかなりのもののようです。 私の勤務先でも月に80万ウオン(約11万円)払っているとボヤいている人がいます。 当地での給与レベルを考えると大変な負担です。

サイパンに一緒に行ったI氏のお宅にお邪魔したときに、 私がI氏と英語で話しているのを見て、中学1年の息子さんが話しかけてきました。 中学1年生では大したレベルではないですが、それでも日本の中学1年生ではこう言う訳には行かないでしょう。 彼は小学生のときから塾に通って英語を勉強しているそうです。 こうして見ると、一例だけしか見てないのですが、お金を使った価値はあるあるようですね。

韓国で受験競争が激しい理由は、結局のところ、伝統的な肩書社会にあると思います。 社会人になってからの昇進も学歴がかなり重要のようです。 日本もかっては同じことが行われていたのですが、最近は解消されつつあり、 特別な大学だけの推薦制度とか、社内での昇進での出身学校による差別を撤廃している会社の中に 業績が良い会社が多く現れているのは周知の事実です。

韓国では、まだそこまで至っていないようで、学歴を上げるために、 社会人になってからも夜間大学院に通うのが盛んなようです。

私の勤務先で高麗大学の社会人向け大学院(夜間及び土曜日に講義を行う)の入試に合格した人がいて、 嬉しそうに私に報告しにきました。 また、中年社員では弘益大学の博士課程を終了間近の人もいます。

私も日本でのサラリ−マン生活が長いですが、このような人はほとんどいませんでしたし、 勤めながら大学院に通えるような大学自体が少ないと思います。 向学心に燃えている人にチャンスを与えるのは、もちろん良いことに決まっていますが、 私には何か異常なものに思えました。 学校に行かなくても勉強はできるし、 大学院で習ったことが実際に仕事に役立つことは少ないですね(大学でも)。

彼によると、今回の大学院の入試の倍率は6倍だったとのことです。 入試科目には英語による面接もあったそうですが、簡単な内容しか聞かれなくて、 大丈夫かと心配したそうです。 でも発表日の朝に「カッチ(鵲:カササギ)」の鳴き声を聞いたので元気がでたとのことです。 日本ではこのような諺を聞いたことが無かったのですが、韓国ではこの種の諺がまだまだ多いようです。

確かに「鵠」と言う漢字には「告げる」と言う字が入っているので、「良報を告げる」 と言う意味が、もともとの中国にあったのかも知れませんね。


肩書社会は人間を評価するのに肩書や地位に頼るしか無かった儒教時代の遺物と考えます。 アジアの国々の間で現在、発展している国は、脱儒教をした国々であるとの説を読んだことがありますが、 そうかなぁ−と思えるところもありました(100%信じたわけではないですが)。


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