1997年6月19日号

日本人の英語


私の勤務先の若い人(27歳)で、TOEICが980点の人がいます。 仕事の上では関係がない部署にいますが、英語が上手なので、昼休みなどによく話をしています。 私のようにKorea語がまともにできない人にとっては貴重な話し相手です。

韓国人は「日本人の英語は韓国人より下手だ」と、よく言いますが、 一般的に言って韓国のフツ−の人は日本人よりもそれほど上手とは思えません。 世界的なレベルで考えれば、日本も韓国も英語のレベルは低いでしょう。 これは文法体系が大きく違っていることと、単語をカナやハングルで表記するために オリジナルと違った発音になってしまうためで、 他のヨ−ロッパの人が英語を学ぶよりも、出発点からハンデが大きいことに起因していて、 ある程度はしかたがないことなのです。

逆にヨ−ロッパの人にとっては日本語/Korea語はもっとも難しい言語のひとつなのです。 極端な例では「世界でもっとも複雑なコトバを話す日本人」と書かれたものを見たことがあります。
発音についても、N以外の子音には必ず母音を伴っていることは、我々日本人には耳に優しく、 発音もしやすいのですが、英語を母国語とする人にとっては逆に発音しにくいことがあるようです。

例えば「土浦(tsuchi ura)」ですが、最後の「a」が難しいそうです。 また日本語の「う」の発音は世界的に見て、類似の発音がほとんど無いそうですが、 Korea語の「う」は日本語に近いそうです(Korea語にはもう一つの「う」 の発音があります)。

後ろから数えた方が早いのに、例えば、全部で100ヵ国の中で後ろから10番目か11番目かを争っているのに、 「わが国民の方が日本人よりも英語がうまい」と、したり顔で言う人の英語を聞いてみたいものです。

こちらに住んでいると、しばしば実感するのですが、 「何とかして日本人の上に行きたい」との、 意識が強過ぎて上記のような発言や本が簡単に受け入れられるのです。

韓国でベストセラ−を書こうと思えば簡単だ。 日本と韓国が戦争になって、日本がメチャメチャに打ち負かされる小説を書けばよい。


韓国人が日本人に対して抱いている感情は複雑なものがあり、 簡単に説明することが難しいです。 「白か黒か」をはっきりつけたがる、「見えっ張り」などの国民性などもからまっていますので、 しばしば報道される「嫌いな国のナンバ−1は日本」などの報道の裏を読む必要があるでしょう。 単純に心から日本人を嫌っているだけではないようです。


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