1997年6月17日号

ボクシング


韓国人ボクサ−で最初に世界チャンピオンになった金基秀(キム・キ・ス)が先週亡くなりました。 当地ではあまり大きな話題になりませんでしたが、日本の新聞には出ました。

金選手はイタリアに遠征して勝利し、チャンピオンベルトを持ち帰り、国民的英雄になったのです。 当地の中年以上の人はだれでも知っています。

韓国では戦後、ボクシングに人気があり、数多くの名選手を輩出してきました。 特に日本選手との試合は試合内容及び判定の結果を巡って多いにエキサイトしたものです。 私もときどき試合をTVで見ましたが、判定については疑問に思ったことが多いです。 ボクシングの判定がいかに難しいか実感しました。
プロの試合のみならず、ソウル・オリンピックの試合で韓国人コ−チが判定に不服で、 審判に暴力をふるい、国際問題になったのではなかったでしょうか。 もちろん、これは良いことではありませんが、最近の日本の野球でも審判に激しく抗議して、 恐怖を感じた審判が帰国しましたので、同じようなものですが....

金基秀以外の韓国の有名選手について韓国人に聞いてみました。

ハ−バ−ド・カン:金基秀選手以前に活躍しましたが、 世界チャンピオンにはなれませんでした。 東洋チャンピオンになり、韓国人にとっては今でも金基秀選手よりも「強い」と言う印象を残しています。 特に日本選手との対戦は全国民が熱狂したようです。 現在はソウルの鐘路で酒場のマスタ−をやっているそうなので、一度、行ってみたいと思います。

柳済斗:確か、日本人の世界チャンピオンからタイトルを奪ったのですが、 リタ−ンマッチで破れたはずです。 韓国で世界チャンピオンになると、一般人よりも破格の収入を得ますので、 「お遊び」に流れ、タイトルの長期保持が難しいのではないでしょうか。 事実、日本の具志堅のように勝ち続ける選手が少ないように思います。 柳済斗選手もタイトルを返上したあと韓国で事件を起こし、消えていったようです。


こちらの人と話していても、今日の韓国のボクシングは全く弱くなり、 「昔の光、今いずこ」のようです。 社会の発展に伴い「ハングリ−精神」が無くなってくるのはどの国も共通のようです。


6月の目次に戻る