日本/韓国、お互いの関心
日本において、韓国に対する関心が高まってきているのは、間違いないでしょう。 特に、88年のソウルオリンピックとNHKのKorea語講座である 「アンニョンハシムニカ」以後の急増ぶりは、すごいです。 私が初めてソウルに来た、21年前は「キ−セン観光」だけが有名で、 韓国の言葉や歴史、文化に興味を示す日本人はほとんど学術に関与している人だけでした。
当時の日本では、Korea語の教科書は2種類くらいしか売ってなくて、 その内の一つが北朝鮮を支持する人が書いたのでしょうか「日朝会話練習帳」と言う本です。 当時は北朝鮮へ帰還する運動が盛んで、今、問題になっている日本人妻も多数、海を渡ったようです。 この本は、そういう人を対象に書かれていたようです。 その程度しか需要が無かったのでしょう。
余談になりますが、私が社会人になったばかりの頃に先輩に連れられてよく行った 「ホルモン焼」の店が、ある日から、突然、主人が変わったのです。 「前の人はどうしたの」と聞くと、「奥さんと一緒に国に帰った」とのことでした。 気安い、いい人で「裏ビデオを手に入れたので、見せてやる」と言って。 閉店後、 見せて貰ったこともあります(正確に言うと、当時はビデオではなくて、 8mm映画です)。 あの人も生きていれば60歳位でしょうが、どうしていることやら。 北朝鮮では裏ビデオも見られなくて、寂しいでしょうね。
話を戻して「日朝会話練習帳」ですが、これが罪作りな本で、 これを持って韓国に行った日本人は、スパイ申告制度で、 警察の取調べを受けた人が何人かいるようです。 韓国では北朝鮮のスパイを見つけた人には多額の報償金を出すのです(今でも、そのようです)。 この本には韓国ではあまり使われていない表現も使われており、 スパイと怪しまれる要素があるのです。 関川夏央の「ソウルの練習問題」でも、清涼里の下町を撮影していて、スパイと間違われ、 警察につれて行かれたことが書いてありますね。
88年のソウル・オリンピック頃からは「キ−セン観光」が下火になり、
代わって、韓国の風俗・文化・歴史に興味を持つ日本人が増えて来たのはいいことですね。
言葉を習う人も増えているようで、頼もしい限りです。
韓国に来るチャンスが少なくても、日本では韓国クラブがまだ盛んですので、
そのようなところで会話するのを励みに勉強している人も多いようですね。
そんなところに水を差すようですが、一部の意見として友人のLさんの意見を紹介します。
まあ、上記は極端な例ですが、こちらに住んでいて、私の下手なKorea語でも、
少しでも話すと、非常に喜んでくれます。
かっては、Korea語を禁止して、日本語を押しつけた人たちの子孫が、
こんどは自分たちの言葉を話すことができるようになったのは、うれしいのでしょうか。
あるいは、そのような日本人像を教科書で習っていたのに、実際の日本人を見ると違うので、
驚いているのでしょうか。
いずれにしても、日本人に対する思いが複雑に絡み合っているようで、
一言で表現するのが難しいように思います。