1997年5月31日号

氏より育ち(訂正版)


読者より、梶山官房長官は旧陸軍大学ではなくて、 旧陸軍士官学校卒業とのご指摘を受けましたので訂正しました。


防弾チョッキを着た大統領、 フジモリさんの緻密でありながら大胆な強行作戦には驚きました。
日本の現在の閣僚の中でただ一人だけ軍人教育を受けている梶山官房長官 (確か、旧陸軍士官学校卒業)は事前通告が無かったことに対して「味方をあざむき、敵を油断させる、 まさに戦国の名武将だ」と、言ったそうです。

フジモリ大統領は血統的には純粋な日本人ですが、日本語も話せなく、 「育ち」は完全なペルー人です。 彼を見ていると人間にとって「氏」と「育ち」のどちらが大きく影響するか興味がわきます。


最近、イギリスでクローン羊が成功して、人間への適用が議論になっています。 ところが遺伝子が全く同じ人間は一卵性双生児としてすでに存在しているのです。 一卵性双生児が成長後、全く同じ人間になるかと言えば、明らかに違うでしょう。 つまり遺伝子が同じ(「氏」が同じ)でも「育ち」の部分の影響が大きいのは多くの実例で示されています。
狼に育てられた「狼少年」が人間社会に戻されても適応が難しかったのは好例です。

これらを元にフジモリ大統領の強行作戦を振り返ると、 日本で生まれ育った人ではあれだけのことはできないでしょう。 「緻密な計画」の部分は日本人の完璧主義を受け継いでいるようにも見えるのですが、 私は元大学教授(国立農業大学の元総長)と言う「育ち」の影響と思います。 事実、作戦後の模型を使った説明について「フジモリ教授が教壇に戻ってきたようだった」と、 報道した新聞もありました。


以上、長々と韓国に関係が無いことを書きましたが、 世界的規模で見れば極めて近い「氏」と思われる日本人と韓国人の関係にもあてはまると思ったからです。

同じ顔をして、しかも隣の国なのにどうしてこんなに違うのかと言うことは、 生活・文化・歴史環境が違うことに起因しているとしか言いようが無いからです。 ある人は隣国なのに地球の反対側にあるとしか思えないと極論しています。
さらに付け加えると、 分断以来50年近く経過した北朝鮮との関係においても同じことが言えるのではないでしょうか。 フジモリ大統領は日系2世だそうですが、分断が続き、3世、4世の世代になると、 かなり違ってきてしまい、統一が難しくなるでしょうね。 その意味でも早く統一できるといいですね。

誤解が無いように付け加えますが、「日本人と韓国人が違う」と言っているだけで、 どちらがいいのか、悪いのかと言っているわけではありません。 我田引水で日本式の方が良いと思うことは多々ありますが、 自分の趣味を外国人におしつけることはしたくありませんし、されたくありません。
第一、人間を評価するのに「いい人」か「悪い人」などと、一言で言えるものではないですし、 「他人を評価」と言うこと自体、尊大なことで、慎むべきでしょう。
但し、日本に関係がある社会的、制度的なことがらで、不公正/不正義なもの、 あるいは、世界の常識から外れると思うものはこのホームページで、これからもどんどん、 告発するつもりです。


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