1997年5月28日号

全羅道出身の運転手


3週間ぶりにソウルに戻ってきましたが、地下鉄通勤がカッタルくなったので、 タクシ−で通勤してます。 以前、タクシ−の運転手の話で地域対立が今でも残っていることを報告しましたが、 今朝の運転手は全羅道の出身者でした。 私から聞いたわけではないですが、野球の話から中日ドラゴンズの宣投手の話になり、 同じ故郷とのことです。

日本人とわかっても、別に変な態度をとるわけでもないし、 逆に叔父さんが福岡の化学会社で働いていると言って、 むしろ親日的でした。 その叔父さんは40年前(子供の時?)に日本に行き、そのまま住み着いているそうです。 運転手は若い人でしたが、英語も少しできるし、日本語の単語も少し知っていて、 親切でした。


ときどき、日本人のお客が乗るそうですが、 日本人の英語の発音の話題になりました。 日本人の「タクシ−」とか「ネクタイ」の発音は彼らにとっては不思議な発音に聞こえるようです。 これらの発音を辞書で見ると、日本語の母音とは違っているし、「ク」は「K」だけで、 「KU」ではありません。 日本語には「K」だけの発音がないので「KU」になってしまうのですが、 Korea語では子音だけの発音が多いので、 本当の英語に近い発音ができるのでしょうね。 韓国人がアメリカ人と話しているのを聞くと、決して上手には聞こえないのですが、 よく通じています。 また、日本人よりも子音だけを聞き取る力が強いので、 聞き返すことも少ないですね。

日本人の英語下手は外来語をカタ仮名で書くことが大きな原因の一つではないでしょうか。 英語のみならず、Korea語をカタ仮名で表現しようとしても、絶対にできませんし、 旅行会話帳に書いてあるのをそのまま発音しても、なかなか通じないものです。 日本語の文章はカタ仮名、平仮名、漢字を混ぜて使うことにより読む時は大変便利なのですが、 反面、会話能力の向上を阻害していると思います。 あちら立てれば、こちら立たずで、なかなかうまく行かないものですね。


今日は朝から気持のいい若い運転手に会えて気分がいいです。 こう言った人たちが成長して社会の中心層になってくれば、 日本と韓国の関係ももっと良くなって来ると思います。 但し、彼が過去の悪い関係を知らないのではなく、 知った上で、 親日的だと言うことが重要な点です。 彼のお爺さんは戦前は日本式の名前を持っていたと言ってました(創氏改名)。 同じことが日本人にも言えるでしょう。 過去及び現在の韓国を正しく理解しないで、 真の友好は生まれてこないでしょう。


5月の目次に戻る