1997年5月18日号

韓国の会社のマネジメントスタイル


最近、私の親族は仕事の関係で韓国と関係が深くなっています。

妻の実兄:
日本の大手建設会社の社員ですが、 仁川の新国際空港建設のため仁川に駐在してます。

私の実弟:
高級オ−ディオ機器メ−カ−の開発技術者ですが、 この会社は2年程前に、韓国の大手財閥に買収され、勤務地は日本ですが、 ときどき出張してきます。

私も含めて自分から希望したわけではないですが、全員、 韓国関係の仕事になってしまいました。
「好きな国か、嫌いな国か」とか「日本文化の移入禁止」 などの議論は別として、すでに経済活動の実態では日韓は密接な関係を持っているのです。 これだけの深い関係を今さら破棄できるわけでもないし、 将来的にもお互いのメリットになるように、 それぞれの国民が努力していくしかないわけです。

このホ−ムペ−ジは全く個人的なもので、 仕事のことは書かないようにしているのですが、 実弟が出張した時に聞いた話しの中で、 韓国の会社のマネ−ジメントスタイルについて興味深い意見を言ってましたので、 紹介します。

日本製のオ−ディオ機器が輸入禁止なので、 韓国で設計製造を立ち上げるために1週間の予定で設計技術の講習に来た。

最後に講習の成果を見るために簡単なテストを行うが、 各人が日ごろ感じている改良提案などがあったら一緒に書いてほしい。

受講生は30歳前後の人が多かったようですが、 「改良提案してほしい」との呼びかけには驚いていたようです。 そのお陰かどうかわかりませんが、熱心に受講してくれたそうです。 あとで、食事の時に聞いたら、 韓国では下の者から上に意見を上げることが少なく、 仮に上げても「なんだ、かんだと言って」つぶされるのがオチだそうです。 下の意見をさらに上に上げるだけならば中間管理職は不要と言うことになり、 自分の保身のためにもツブさざるを得ないと言うことのようです。
また、先生が生徒から意見を受付けるのもあまりないようです。

まあ、この一例だけで全体を判断するのは危険ですが、 歴史的に身分の上下関係が大変厳格な社会ですから、「ありそうな話」だなぁ−と、 思いました。 しかも、 この会社のマネ−ジメントスタイルはアメリカ式/日本式を取り入れていて、 他の財閥に比べて社内がうまくいっていると評判なのですが、 それでもこれぐらいです。

韓国は肩書社会であり、 以前の日本のように部長、課長、係長のピラミッド型の組織を使っていますが、 アメリカ/日本などでは、進歩が早い開発分野を中心に、 文鎮型組織やプロジェクトチ−ム制に変化させているのは常識です。

しかしながら、 「改良提案」に対して目を輝かせていた人たちがいたと言うことは心強いですね。 この人たちが管理職になった時は、古いやり方をしないと言うことですからね。

伝統を守ることは意味があることでしょうが、 悪い伝統は変えていかないと世界から取り残されていくことも、 歴史の必然でしょう。


5月の目次に戻る