1997年5月14日号

チョンマゲ


日本では相撲が始まりました。 相撲取りのチョンマゲを見ていましたら、 以前、日本を良く知っている韓国人から聞いた話を思い出しました。 彼は英語で言ったので、 細かいニュアンスまで正しく日本語で再現できているか自信がありませんが、 書いてみます。

Koreanは歴史的に見て多くのことを日本に教えた。 いいことばかりでなく、悪いことも教えた。 例えば「チョンマゲ」と言う言葉である。

Korea語では「チョン」と「マゲ」の二つの単語の合成で、以下の意味を持つ。

チョン:男性のシンボルを示す
マゲ:ワインのコルク栓のような「栓」を示す

確かに韓国語の辞書を見ると、各単語にはその意味が記載されています。 でも、日本語の辞書には「髷」と言う漢字がありますので、 もともと「マゲ」と呼んでいたのにKoreanが「チョン」を付けて発音したのが広まったのではないでしょうか。 いずれにしても、酒の席での話題としては笑える話で、 私も飲み屋のアガシ相手にこのネタを使わさせてもらっています。

これは一例ですが、日本人を題材にした民衆レベルの小噺はたくさんあるようです。 でも、日本にいろいろ教えたとか、 何となく恨めしさが見え隠れしていてわびしいですね。
まあ、彼らから見れば500年、 1000年前には世界の辺境の国だった日本にいろいろ教えてやったし、顔も同じで、 個人対個人で比較しても大して変わらないのに、国レベルで見ると、 国民1人当たりのGNPが今でも3倍の開きがあることがハガユイのでしょうね。

実際にソウルで暮らしてみると、 この100年間は、文化的にも社会・経済的にも日本の影響がかなり大きいことに気付きます。 (それがいいのか、悪いのか、望んでなのか、望まずになのかは別にしても)
こういったことは日本人の私からは言いませんし、言わなくても韓国人でも知っている人は知っています。 韓国政府も、輸入制限を緩和すると、 日本の文化・商品・資本が雪崩をうって入ってくることを良く知っているようです。 何よりも韓国の一般市民が日本製品や風俗を欲しがっているのですから、 需要と供給の関係から、規制しないと大変なことになるのでしょうね。

ときどき日本でも報道される「日本映画の上映禁止」などの記事を見て、 「ケシカラン」といきりたたないで下さい。 そうしないと、伝統文化や国内産業が著しく打撃を受けるし、 北朝鮮と対峙している現状ではまだまだ規制を続けて、 日本化の防波堤としなければならない事情があることを理解する必要があるでしょう。 ただ、日本と同様に天然資源が少ない国ですので、貿易に頼らざるをえず、 輸出は増やして輸入は規制すると言うムシのいいことは長続きしないでしょうから、 徐々に開放化に向かうのは逆らえないでしょう。


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