1997年4月20日号

日本語とKorea語


日本語とKorea語の文法構造がほぼ一緒であるのは良く知られていることです。 私も数年前に会社内の語学教室に通ったことがありますが、 その後使うチャンスがなく忘れてしまっていました。 ところが今回の突然のソウル勤務で復活しなければならないところですが、 事務所に外国人は私だけで会社の人も私には英語を使わなければならないと観念していますので、 Korea語を使う必要性はそんなに高くなく、 なかなか上達しないのが現状です。
街にでると日本語も英語もそれほど通用しませんので、 Korea語を知っている必要性があり、 地下鉄やタクシーで正しく行き先に到着することと、 食堂のメニューを見て注文できることぐらいは必要でしょう。 私はそれに近いレベルまではきましたが、 これ以上のレベルアップはかなりの努力が必要で、 通訳や翻訳の仕事をするつもりがない私にはやる気がおこりません。

以上のようにいいかげんなKorea語の知識しかない私ですが、 日本語との比較を中心に独善Korea語論を書いてみます。 あくまで「独善」ですので、間違いひとりよがりがあることをお許しください。

日本語もKorea語も「膠着語」に属する
学者の世界では言語の分類として、コトバとコトバの関係において、
英語や仏語のように単語が形を変える「屈折語」、
中国語のように単語を並べる順序によるものを「孤立語」、
日本語やKorea語のように助詞や助動詞を使う「膠着語」
に分類される。 膠着語は助詞や助動詞が強力に前後の単語の意味を規定するため、 文章の中でコトバの位置を入れ換えても意味が同じになる特徴があります。 「私は友達と一緒に動物園に行った」でも「友達と一緒に私は動物園に行った」 でも同じ意味で、全く正しい日本語です。 Korea語も日本語と同様に、 英語と違って主語を省くと命令形になることもありませんし、 助詞、助動詞の正しい使い方が重要です。 さいわい、日本語と似てますのでとっつきはいいですが、日本語でも 「て、に、を、は」が重要なように、 Korea語でもいい加減な覚えかたをしないようにしましょう。

漢字を使った単語が多い
現在、韓国で使われている文章は99%以上がハングルで書かれています。 しかし、そこで使われている単語は漢字の単語が日本語よりも多いくらいです。 例えば、私が通勤している駅の階段には「階段試作」にあたるハングルが書かれています。 「階段」は日本語と同じ意味で、「試作」は日本語の「開始」の意味です。 つまり日本の駅なら「階段がはじまります」と書くのでしょうが、 日本式に書くと「階段開始」が表音文字であるハングルで書かれているのです。
長い間、中国からの政治的、文化的影響を大きく受けてきたので、 日本以上に漢語の単語が多いのでしょう。 日本での漢語の意味と違う例を出しましたが、 70%くらいの漢語は日本と同じ意味ですので、 ハングルと漢字のMIXで書かれておれば、 日本人にとって大変わかりやすいでしょう。
さらに、日本と同様にKorea独自の単語も多く存在し、MIXして使います。 しかし、日本語と違ってこれらの独自単語に漢字を当てはめることはしません。 日本では「家」を”か”、”や”、”いえ”と読みますが、こちらでは”カ” としか読みません。 ハングルで”ミン カ”と書いてあれば「民家」のことです。 日本語の”いえ”にあたるKorea語は”チブ”という言葉で、 決して漢字では書かないのです。
また、一つの漢字には原則として一つの読み方しか存在しません。 例外はありますが、手元にあるこちらの漢字辞典には3000文字集録のうち、 56文字が二つ以上の発音を持ちます。 これらの文字はよく大学入試問題にでるそうです。

発音の違い
以上、日本語とKorea語の類似性について書きましたが、 発音についてはかなり違っています。 日本語では「ん」を除いて、子音だけが単独で存在することがなく、 必ず母音を伴っていますが、Korea語にはそのような原則がありません。 またハングルの一文字の中には母音又は複合母音が一つしか存在しない原則があります。 日本人にとってこれが難しく、 有名な「ありがとうございます」の意味の「カムサ ハムニダ」が 「カmuサ ハmuニダ」になってしまいます。 「ム」は「mu」でなく、 子音の「m」だけの発音としなければなりません。 これらは少数の例外でなく、少しでも喋ればすぐに出てきますので、 かなりのKorea語の使い手でも、 すぐに日本人と見破られてしまいます。
日本語の発音が母音を伴っているのは、 どうも太平洋やインドネシアの言葉に近いように思います。 「ハワイ」や「アロハ」など意味がわからなくても必ず母音を伴っているため 日本人の耳には優しく聞こえます。 数年前にたまたま食堂で相席になったイギリス人と話したのですが、 彼はこちらのTVを見ていると10分もしないうちに頭が痛くなると言ってました。 バシバシと子音で終了する発音はイギリス人にとっても耳に優しくないようです。 英語でも子音で終わる発音が多いのですが、Korea語よりは激しくないのでしょう。

以上より、言語を通して日本語を見つめ直すと、 遠い昔に日本人はどこから来たのか不思議に思います。 どうも、中国大陸、朝鮮半島、太平洋から時間を違えて来た人達が争いながら 混血を繰り返してきたように思います。 といっても、ここ2000年くらいはほぼ純粋性を保っているようです。


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