1997年4月13日号

ソウル レストラン事情


Korea料理と聞いただけで、大多数の人は「辛い」と思うでしょうが、 辛くないものもあります。 そもそも唐辛子は字からもわかるように 中国から日本に伝わったものですが、驚くことにKoreaへは中国から 直接伝わらずに日本経由で伝わったそうです。 観光ガイドブックに 書いてあったので、当地の人に確認しましたが、加藤清正の虎退治など の言い伝えで有名な豊臣秀吉のKorea進出の時に持ち込まれたとの ことです。 ですからキムチを初め唐辛子を使った料理は400年の歴史しかない ことになるのですが、発酵を併用して世界的にもユニ−クな食文化を 形成したのです。

また、この時代の支配者である李王朝は仏教に対してそれほど 支持しなかったので、仏教の戒律である「四本足の動物の肉を食べない」 ということもなく、カルビやブルコギなどの肉料理も発達したのでしょう。

以下に、当地の食堂のメニュ−の一部を紹介しますが、 ビビンバなど、観光ガイドブックに書かれているものはそちらに譲る として、B級グルメ的なものを中心にします。

ボッサムキムチ
私はこれが最高のKorea料理と思います。 白菜の葉の間にカキ、魚、 肉などを入れたものです。 但し、材料が材料だけに発酵状態が微妙で 漬けた時間が短くても長くても味が落ちます。 なかなか美味しい店を探す のが難しいので、現地の人に聞いてから行きましょう。 ロッテホテルの 上の方の階にある食堂街に美味しいところがあるそうですが、まだ、行ってません。 通常は「スヨック」といって肉を水炊きしたあと、薄くスライスしたものも 注文して、ボッサムキムチと一緒に食べます。 水煮の肉のプレ−ンな味と 発酵したキムチの複雑な味のミックスは絶妙です。
なお、「ボッサム」とは「包む」という意味だそうです。

ドガニタン(ドガニ湯)
最後に「タン(湯)」が付いているのでス−プだと言うことがすぐわかり ますが、ドガニタンは値段的に「四節湯(旧称ポシンタン:犬肉ス−プ)」、 「参鶏湯(サンゲタン)」と並んで高いです。 ドガニとは牛の軟骨部の ゼラチンを含んだ肉ですが、日本の飲み屋で煮込みの材料に使われて いますので、日本人にとってはお馴染みの味です。 でもこれを韓国風に ス−プにすると、また別の美味しさがでます。 ス−プには唐辛子や塩を 入れずに調理されてますので、自分で塩などを加えて調味します。 私は唐辛子を入れずに少しの塩と胡椒だけを入れたのが好きです。

日本でス−プをかけたご飯のことを「カルビグッパ」などと理解 していますが、「グッパ」は調理室ですでにご飯とス−プが混ぜて あるもので、「タン」はス−プとご飯が別の食器で出され、自分で 好きな割合に混ぜてもよし、別々に食べてもいいです。
ソウルの食堂のメニュ−で「グッパ」を見つけるのが難しく、 ほとんどが「**タン」です。 なお、「テンジャンタン」は日本の 味噌汁にあたり、具もほとんど同じですが、残念ながら味噌の味が 違うので、日本の味噌汁の方が好きです。 余談になりますが、 こちらの醤油も日本とは違うので、折角のサシミの味がだいなしに なってしまいます。 日本から来る時は、日本の醤油をもってくる のがいいでしょう。

ケジャン
これはサイドディッシュなので、いくらメニュ−を探してもでてきません。 生カルビなど、およそ15000ウオン以上のものを注文した時にキムチと 一緒に小皿ででてきます。 生のカニを唐辛子であえたものですが、なぜか 辛みだけでなく、甘味も含まれているのです。 生のカニなので夏場は 敬遠したいですが、大変美味しいです。 辛い食べ物に弱いと言っている 人でも、これをまずいと言った日本人をみたことがありません。 しかもサイドディッシュなのでおかわり自由です。 でも生なので おかわりは1回くらいにしておいた方がいいでしょう(私はこれが原因で お腹をこわしたことはありませんが)。

Korea料理のことばかり書きましたが、ソウルでは外国料理店が 少なく、あっても味は期待できません。 Korea料理に飽きたとき にちょとだけ食べるだけにしておいた方がいいでしょう。 但し、 「吉野屋」の牛丼だけは日本と全く同じ味ですので、下手な日本料理店 にいくよりもいいでしょう。

先日、ソウルクラブと言う会員制の最高級のレストランで会食しました。 肉をただ焼くだけのステ−キは素材で勝負しているので、さすが高級店 だけのことはあったのですが、ス−プやサラダはいただけなかったです。 最高級の店でも外国料理はこのくらいですから、あとは推して知るベしでしょう。
やはり、外国に行ったらその土地のネイティブな料理を食べるのが 一番ということでしょう。


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