ロクタル管スーパーの製作

 

以前からやってみたかったロクタル管によるスーパーヘテロダイン・ラジオを製作しました。 今回は回路的にも充分吟味し、AMラジオとしては、大変音質の良いラジオに仕上げることができました。

ラ インナップは、7Q7(周変)、7R7(IF増幅、二極管検波)、7AD7p-p(電力増幅)、5AZ4(両波整流)、6E5、0C3(VR105− GT、定電圧放電管)としました。 7R7をIF増幅に使った例は、Webで探しても見つからないので珍しいのではないでしょうか。

真空管用の部品の手持ちがほとんどなかったので、オークションでジャンクのラジオを入手して分解清掃して使いました。 購入当時のみすぼらしい写真は、ここ、にあります。

 

回路図は、ここにありますが、以下の回路的な特徴があります。

  • 電源トランスのB電圧端子が330V x2 と電圧が高すぎたので、チョークインプット方式を採用した。 これにより、チョーク後のケミコンとして、470μFの大容量が使用可能となり、チョーク後のリップルは、実測値で1Vppまで押さえることができた。
  • バーアンテナの採用により、トランジスタラジオのように外部アンテナなしで受信可能とした。 サブコアをドライバで回すことによりインダクタンスの微調ができるので、トラッキング調整が容易となった。
  • トラッキングレス・バリコンの採用によりパッディングコンデンサーを省略した。 局発コイルはジャンクラジオから取り外したμ同調コイルを使用した。
  • 7R7 のカソードを直接接地する事により、共通カソードの2個の二極管のカソードも接地となり、AVC電位の扱いを容易にした。 カソードの直接接地は7R7を 痛めるおそれがあるので、G2電圧を不注意などで上げないように定電圧放電管(スタビロ)を採用した。 電圧安定のためと言うよりも、G2電圧リミッター のためである。 スタビロは手持ちの関係でVR75を使ってみたが、その後、購入したVR105に交換しても問題が無いことがわかった。
  • 二極管検波はAVC検波と音声検波を別々に行い、それぞれの回路定数を独立に最適化し、音声検波のクリッピング歪の低減とAVC時定数の最適化を両立させた。
  • 出力管には、Hi−gm管である7AD7を起用し、二極管検波の出力は、ボリュームで音量調整後、ただちに7AD7をドライブする。
  • 電力増幅は、低域まで周波数特性を低下させないようにプッシュプルとした(スピーカーに背負っているシングル用OPTはサイズが小さいことと、直流磁化により低域レスポンスが悪い)。
  • プッ シュプルの位相反転回路は、真空管数の節約と回路の簡略化のために出力管自身で行わせるようにした。 当初、ムラード型を採用したが、共通カソード抵抗が51オームと小さいの でACバランスが悪く、完全なpp動作にはなっていなかった。 その後、三重県にお住まいの津田孝夫さんより、同じアイデアで設計された回路が、自作ラジオ界の長老である長真弓さんが「ラジオ技術」1951年10月号に似た回路のラジオを発表されていることを教えて頂き、長さんと連絡を取ったところ、SGのバイパスコンデンサーを外すと位相反転効果があること教えて頂き実行してみた。 結果は大成功で、最大出力が増加したように感じられた(まだ測定してない)。 

  

左下のUXソケットはKX−80用に5AZ4と並列配線してあり、どちらかをそのときの気分によって使い分けて楽しみます。

 

バーアンテナ(アンテナコイル)の自作について:

粗 大ゴミのAMチューナーから取り外したバーアンテナを巻直して使いました。 インダクタンス測定器がないので、FETで簡易発振器を作り発信周波数をカウ ンタで測定し、計算でインダクタンスを求めました。 430PFのバリコンの場合、所定のインダクタンスは約210μHです。 発振器の回路は、ここ、にあります。

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