ST管5球スーパーのレストア その2

 

レストアも面白くなってきてもう一台不動の5球スーパーを落札しました。 メーカーものではなく、昭和20年代に最大のメーカーと言われた街のアマチュアによる自作品のようです。 ケースデザインが気に入り落札しました。 売り主は近くのリサイクルショップで、電気の知識がないので、蔵出し品を仕入れたまま手入れせずにそのまま売り出したとのことです。

ラインナップは、6WC5, 6D6, 6ZDH3A, 6V6-GT, 80HK, 6E5 でした。 全ST管にするために、出力管を42に交換しました。 また、6E5の輝度が落ちていたので取り外してしまいました。

電気的修理の主な箇所は以下です。

  • 6WC5交換
  • プレート回路にかかわるすべてのペーパーコンをフィルムコンに交換
  • 1Mオーム以上と6WC5のグリッド抵抗をトランジスタ用のP型抵抗に交換
  • 二極管検波回路付近の回路に手抜きがあったので、標準回路に変更
  • 音量調整VRがひどいガリだったので、AVC電圧がかからないようにコンデンサーでDCをカットした。 これにより実用上許せる程度までガリが減少した

電解コンデンサー(ELNA製)は使用可能でしたので、そのまま使いました。 ハムも出ませんので、容量抜けも無いようです。

コイル、バリコン、IFT、パディングコンデンサーはコスモスの製品で統一されていました。 このIFTは調整用のネジがしっかりしており、スムーズに調整できました。

前回のレストアでは、半波整流を嫌いシリコンダイオードでブリッジ整流に改造しましたが、今回は80HKによる半波整流のままにしました。 ツチヤ製の電源トランスですが、半波整流による鉄心の唸りもありませんでした。

 

トラッキング調整は、局発周波数を別の受信機で受信して、バリコンの 最大容量の時に985KHzになるようにパッディングコンデンサを調整し、バリコンの最小容量のとき、2105KHzになるようにバリコンの局発側のトリマを調整しました。 つまりこれで受信周波数範囲として530KHz(局発は985KHz)〜1650KHz(局発は2105KHz)になったわけで、横行ダイヤル目盛と合いました。

IFTの調整は、放送波そのもので行いました。 JOAKを受信して、そのときの局発周波数を別の受信機で受信します。 JOAKは594KHzですから局発は455KHz上の1049KHzになります。 別の受信機で1049KHzの局発が動いてしまわないように監視しながら、JOAKが最大感度で受信できるようにIFTのコアを調整しました。

(左の写真は出力管を42に交換する前の写真です。)

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