中村幸紀 木彫作品

  - 第66回 創型展 -

抱いた白鳥が変わった羽衣で、乙女が天に翔びかえってゆく、という日本の羽衣伝説を形にしたものです。
限られたサイズの角柱を彫り進め、工程の最後に近いところで台座の底面に角度を付けて像が斜めになるように調整しました。像の傾きが決定した後、眼の細部を彫り「目線」の方向が自然になるように微調整しました。飛翔するための羽根や羽衣の柔らかい感じを堅い木を彫って表現してみました(中村幸紀氏談、大橋一夫記)。

材料は、カナダ産のヒバ(ヒノキの仲間)


龍門の滝を登れば、龍に成れると鯉が浪に死力をつくす、という中国の登龍門の逸話を形にしたものです。
米松を使い、仕上がり状態での魚の姿態と年輪の現れ方のデザイン的マッチングをイメージしながら彫り進めました。材料は10cm角に製材された角柱です。限られた体積の材木から大きな魚の像をダイナミックな構図で彫り出すことに注力しました。年輪のある部分と無い部分の堅さが大きく異なり、彫刻刀に加える力を加減しながら彫りました(中村幸紀氏談、大橋一夫記)。

 

高校同期生 近藤美恵子さんの感想

会場入りして、「鯉登龍門」がまず目にはいりました。
柾目板を意識されて、素晴らしくまとめていらっしゃる作品に、鑑賞の時間をとりました。作品のイメージが先なのか、美しい柾目が先なのかと制作されているプロセスをいろいろに想像しておりました。鯉の口あたりは、柾目をいかにカットするのかななど・・・・・。相変わらずに立体図形に弱い私には、繊細な作品をつくり上げる中村さんのお力に、感動です。 

「翔・かなたへ」という作品に使われた木は、なんでしょうか?
遠くを見つめるまなざしが印象的でした。