第三戦ご報告

「ラフウォータースイム・イン鎌倉2008712日「スイム1,5キロレース」

 

アイアンマンに変身した私!

 

前回511日「帯広の森アクアスロン大会」出場以来、一度も走ることなく過ごした6月の下旬のこと、鎌倉材木座の海でスイミング大会があるのを知った。

前回の「帯広の森アクアスロン」で、そうとう不満の残る1500メートルスイミングの記録のことを思い出していた。

天才アスリートとなった私としては、このままほっとけない。そこで2週間前ではあるがエントリーをしました。

誰にでもあることだろう、一生懸命勉強したのに思いのほか成績が悪かった事。

愛し合っていたと思っていたのに好きなのは自分だけ。片思い。許せない!

弱いやつだと思っていたのに思いもよらぬ反撃にあって涙ぽろぽろ、身体ぼろっぼろ。

ちょっと違うかもしれないけど肉まんだと思って夕食に買ってきたのに、なんだ!あんまんじゃーないか!

そんな気持ちのまま大会に臨んだ。

 

712日(土)大会当日の朝

寝不足のまま起きあがり、猫のうんち取りやら、猫の朝食やらを与え、自分は何も食べないまま、いやがる身体を右手で引っ張るようにして駅へ向かう。

大会受付は630分?8時までにと強気だし、その上1500メートル種目は1330分スタートである。いやな時間配分だ。

朝からぎらぎら太陽が梅雨の空き間と言いながら照りつける。

受付で「498」と両腕にマジックで大きく書かれ、右手に白い計測ベルトをはめられ囚人のようだ。いよいよかと思いながらもストレッチすらやる気なく岩陰に身を隠す。やがて岩陰にも太陽が入り始め追い出される。

気づけば朝からなにもたべていないぞ。さっき降りた鎌倉駅の途中に「フレッシュネスバーガー」ショップがあったな、食べてこよう。ここのバーガーがなかなかうまいのだ。コーヒーもいけるぞ。行ってこよう。

もう30度を超えているそうだ。

フレッシュネスバーガーまでの道のりは長く、暑く照りつける砂漠を超えていく商人のように歩く。めまいがする。相当体力をうばわれたな。

時間はたっぷりだ。今日は一泳ぎするだけ。一日を37分だけの為に過ごす生き方ってとても贅沢な時間なんだろう。今日の泳ぎはそんなところか。難しいものだ。世の中を一泳ぎするのは。

本を読んだり、コーヒーやらバーガーやら、フレッシュジュースを飲んだり、いつもの妄想に入り浸ったりを繰り返し、やがて12時に近づいたところで店を出て会場に向かう。

前のレース3キロが終盤を向かえている。

このレースは沖合750メートルに目印の赤いブイがありそこを回ってスタート地点に戻る展開である。5キロレースは3往復。3キロレースは2往復。1,5キロレースは1往復である。

 

待つ時間が長く、体力をうばわれる。暑い。日陰がないので試泳をかねて海に入って身体を冷やす。クラゲが相当出回っているな。

先頭の泳者と最後尾の泳者の差はすでに1周抜かれていて分かりにくい。とにかく暑いので首まで浸かってレースの展開を静かにうかがう。気分はグリンベレーとゲリラの戦いのようだ。ベトナム戦争を思い出すなー。見上げればヘリが旋回している。危ない!。もちろん映画のなかでの話しだが。そうすると俺はっどちだ。自分としてはグリンベレーだが、他人はそうは見るまいな。いまにみてろ!

とかいって一人遊びしている間にいよいよ集合の合図だ。

 

いるいるどんどん集まってきたぞ200人はいるかな。波打ち際からスタートするようだ。海上の最初の赤いブイまでが50メートル。ブイとボートの間が10メートルぐらい間が作られている。それが第1関門通過。狭い!。

1330分。プオー!・・・そして一斉スタート!

砂浜から一斉に海に向かって走り、飛び込んでいく。すごい。迫力満点。沖から機関銃で撃たれてハタバタ倒れ込む兵士のようだ。人の上に人が重なるように倒れ込みながら海に突入。必死にもがく人々。芋を洗うとはこれだ。小さいとき里芋を桶の中に入れ、エックス型した棒でかき混ぜ、里芋君つるつる。そんな感じである。

人の足を触るな!なんてもんじゃー無い。もうごちゃ混ぜ。第1のブイをクリアーしても身体のぶつかり合いはつづく。肉弾戦だ。我慢できないから沖の方へ逃げる。しかし群れから外れすぎるとロスも大きくなるので大きくは外れられない。コース取りは重要だ。

プールと違ってコースラインが無いうえ、水が濁っていて前の泳者の存在が見えない。と、しばらく進んだところで右手からどんどん女性の身体がにじり寄ってくる。よけても、よけても寄ってくる。コースから外れるからやめてくれ!ピッチを上げてかわそうとするがぴったり身体を寄せてくる。こんなところで女性のお相手はしていられない。

やむなくピッチを落とし相手の右手に回り直線コースの軌道に入る。

やっと女性もコースのはずれに気づき、再び私の方に接近。キャー。

女性がコースの修正に時間をかけている間に逃げ切りの態勢に入る。追いかける女に、逃げる細身の男。泳ぎの調子は上々だ。力強い女性に逆らうよりも逃げるが勝ち。朝からずーと具合が悪いなと思っていたのが嘘のように逃げ進む。

今まで抜かれる経験しかないのに、今日は一人ずつゆっくり抜いているような気がする。それともいつもの眩暈か?三日前に「クロールが早くきれいに泳げるようになる」と言う本を買って読み始めたのが、今になって効果が出てきたのに違いない。

 

前方にあるべき750メートルの折り返しのブイはどこにあるのか全く分からないが、まわりの選手にその気配が感じられないので無心に泳ぐ。互いにぴったり寄り添い、群れから外れまいと、ひとかたまりの泡みたいにバタバタ、ビジャビジャが折り返しブイに向けて動いていく。長い。750メートルの直線コースというのはどれだけ長いのだろう。たぶん相当長いのだろう。予想も出来ないのでただひたすら手を前に、前に水を求めて泳ぐ、泳ぎ続ける。

ついに折り返しが近づいたのか、突然動きがあわただしくなり右に旋回。からだがぶつかり合い、顔を出しながら相手を牽制しながら平泳ぎでブイを押さえ込みながら4?5人が重なるように折り返しコースに入ってくる。

折り返しからは後続者の姿は見にくくなるので競りあっている数人との勝負となってくる。この辺りまでくると泳ぎの早さに差がないのか、少々ピッチを上げようとしても変わらない。こちらがピッチを上げれば相手も上げる、同じリズムができあがってしまっているのか周りが一定のリズムのまま遠いゴールのブイに向かって泳いでいる。

何個かのオレンジのブイを通り過ぎたような気がするがはっきりしない。

水面ギリギリで顔を時々上げながら前方を確認。水平面上のポイントからクロールで泳ぎながら確認するのだから分かりづらい。その上老眼で近視。わずかに乱視。時々めまい。吐き気。息切れ。うぐっ。陸から見ているときの分かりやすい5個のオレンジのブイの関係が分からない。はっきりしているのは先は遠いぞ、オレンジのブイを探せ!だけだ。

いよいよ最後のブイに近づいたかと思い接近すると、遠くにもう一個のオレンジのブイがここだよ!

どうやらブイに最も接近しながらインコースを泳いでいるのは私らしい。良いコース取りだ。

顔を上げて泳いだり、相手をかわしたりと肩に力が入っていたのか、かなり腕が痛くなってきた。

そろそろ最後のブイに接近してきたぞという気配が感じられる頃、近くのボートから、なにやら我らに向かって叫んでるような気がする。周りの選手の勢いが少し激しくなり始めてきた。いよいよ最後のブイに接近か!

負けちゃいられない猛然とダッシュだ!そしていよいよ最後のブイが見えてきた。こちらが頑張ると、相手も頑張る、いよいよと思うと力が入る。最後の争いが始まった。3人がほぼ一斉にオレンジのブイになだれ込む。いてっ。バッキューン。バーン。そしてブイをクリアー。オーリャー。

ここから陸まで50メートル。からみつく藻も一緒につかみ水をかく。3者ほぼ同時だぞ!こりゃー楽しい。最後の競り合い。ちょっとお隣さん疲れているな。やがて手が砂をつかみいよいよ着地だ。立ち上がってゴールまで残り10メートル。水しぶきを上げて走るんだ!いけ!ダッシュ。おっとお隣さん足がふらついてるな。軽く抜いたな。ゴール!。勝った。

1500メートル完泳。タイム「37分」・・・すばらしい!。電光掲示板が私のためにビカービカーと輝いている。

それとも物足りないからもう一週!と叫んでいるのだろうか。

へとへとです。

 

みえき