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E-Linearアンプの改良 |
改造目標:
自作の他のアンプと比べて、どうも低音の押し出し感に欠けているように思いはじめ、改造を思い立ちました。改造の要点は出力トランスの大型化です。最初のものは特注品で、トランス単体の実測値はそこそこ満足できるのですが、鉄心が小さく低域のハンドリングパワーに欠けていると思いました。交換用の出力トランスを各種物色した結果、ソフトン社のRW−40−5に決め、横浜青葉区の会社まで受け取りに行きました。RW−40−5はシングル40W定格品で、本器には充分すぎるのですが、ULタップ付きのもので他に候補者が少なく、これに決めました。その規格は”ここ”に掲載されています。
シャーシがステンレスのため、すでに部品が付いている状況では追加の穴を明けることが難しく、写真のように以前の出力トランスの止め穴を利用して垂直のブラケットを立て、そこにトランスのケースを外した中身だけを取り付けました。両トランス間での磁気結合がないように、Rコアトランスの磁気ギャップが無い辺同士を向き会わせました(このトランスは巻線部の真ん中2カ所にコアの磁気ギャップがあるとのことです)。一次巻線は5KΩのインピーダンス接続とし、二つのKNF巻線はコールド側を信号GNDに接続し、他端は絶縁して電気的にオープンとしました。
関連する改造1:
新しい出力トランスは、一次巻線の50%のところからULタップが引き出されていますので(従来品は40%)、P−G帰還量が以前よりも増加します。以前でもDFが4.7と私の好みよりも大きかったのですが、帰還量の増加に伴って、さらにDFが大きくなってしまいます。この対策として、P−G帰還量を減らすことを考え、回路図に示すように、2個の39KΩをC3gのプレートに増設しました。これにより、EL−34のG1に帰還される信号電圧は約半分となり、ULタップが50%であることから、G1にはその半分の25%の信号電圧が帰還電圧としてフィードバックされることになります。C3gの合成負荷抵抗値も下がってしまい、ゲインが低下しますが、EL−34のゲインが負帰還量の低下に反比例して増加しますので、トータルのアンプゲインは変わりません。
関連する改造2:
中国出張時に、上海のジャンク部品屋で入手した、スプラグのオールドVitamin−Q 0.1μF、1000V耐圧品を使って従来のERO社のポリプロピレンコンデンサーと交換してやりました。
試聴結果:
改造は成功と思います。低音の押し出し感は充分満足できるレベルになりました。また、Vitamin−Qにした効果でしょうか、中音域が「芯のある音」になりました。JAZZの再生で、雰囲気を良く再現するアンプになりました。
(2008.9.23)